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[II-OR201-04] 新生児期Ebstein病に対するStarnes手術後における左室拡張能の検討
キーワード:Ebstein 、Starnes、左室拡張能
【背景】新生児期に治療介入を要する重症Ebstein病では、胎児期より右室拡大に伴う左室圧排を認め左室拡張能に影響を及ぼす。従って、新生児期Starnes手術により右室縫縮を行い左室拡張機能の改善を図る必要があると考えられるが、Starnes手術後遠隔期の左室拡張機能に関する検討は少ない。今回、新生児期Starnes手術後Ebstein病患者のFontan術後左室拡張能について検討したので報告する。【対象】1999年以降のEbstein病患者の中で新生児期にStarnes手術を施行した5例のうちFontan手術に到達した4名をretrospectiveに検討した。他の1例は両方向性Glenn手術に到達し、現在Fontan手術待機中。Fontan手術への到達年齢は平均2歳1ヶ月であり、術式は全例でTCPCであった。またWPW症候群の合併は認めなかった。【方法】それぞれの症例におけるFontan手術後1年のカテーテル検査での左室拡張末期容積指数(LVEDVI)、左室駆出率(LVEF)、左室拡張末期圧(LVEDP)と、心エコー検査での右室拡張末期容積指数(RVEDVI)、TEI index、三尖弁逆流速度から推定した右室圧(RVP)について検討した。左室拡張能についてはLVEDVI、LVEDP、TEI indexを用いて評価した。【結果】RVEDVIは21.4±8.7(15.6-35.0)ml/BSA、推定RVPは、24.3±5.6mmHgであった。LVEDVIは61.1±21.4(Starnes手術後66.9±14.7)ml/BSA、LVEFは70.3±11.7(Starnes手術後66.6±9.6)%、LVEDPは5.8±2.0(Starnes手術後9.8±2.6)mmHgであった。TEI indexは0.3±0.16であり、左室拡張能は保たれていた。またFontan手術後のBNPは15.2pg/mlであった。【結論】重症Ebstein病患者に対する新生児期Starnes手術では、右室容積の縮小、右室圧の低下により術後左室拡張機能を良好に保つことができると考えられた。