3:35 PM - 4:25 PM
[II-OR201-05] 乳児特発性僧帽弁腱索断裂に対する外科治療-早期介入、弁形成を中心として-
Keywords:乳児特発性僧帽弁腱索断裂、弁形成、僧帽弁閉鎖不全
【目的】乳児特発性僧帽弁腱索断裂は、急性発症し急速な心不全増悪を伴う。手術介入の時期やその手技は議論の残るところである。今回、当院で経験した乳児特発性僧帽弁腱索断裂の手術例について検討した。【対象】2007年4月から2015年12月までに、当院に搬送された乳児特発性僧帽弁腱索断裂の5例(男児:3、女児:2)を対象とした。【結果】発症月齢は4-7ヵ月であった。全例で感冒様症状を認め、心雑音を指摘され、心エコー検査で僧帽弁腱索断裂と診断された。当院搬送時の僧帽弁閉鎖不全(MR)の程度はsevereが3例、moderateが2例(2例とも三尖弁腱索断裂を合併)であった。全例で術前人工呼吸管理が行われ、搬送から24時間以内に緊急手術を行った。手術時体重は中央値6.3(5.85-7.57)kgであった。腱索断裂が広範囲な2例(A2・P2:1、A2~A3・P3:1)に対しては人工腱索、また腱索断裂が交連部付近にとどまる3例(A1・P1:2、P3:1)にはedge-to-edge repairを行い、それに加えて全例にKay法による弁輪縫縮を行った。また2例で三尖弁中隔尖腱索断裂を合併していた。1例に弁輪縫縮、もう1例には中隔尖・腱索縫合固定を行った。手術死亡はなく、術後観察期間は中央値6.3(4ヵ月-8年5ヵ月)年で、再手術介入、死亡例はない。現在、心エコー検査でMRはnone~mildが4例、moderateが1例である。また、僧帽弁位での流速は平均1.49m/sと経過良好である。MR moderateの症例、及び術後1年以内の症例の2例で内服加療(ARB)を行っているが、他の3例では内服加療を必要としていない。【結語】乳児特発性僧帽弁腱索断裂に対し、早期に手術介入を行ない、全例を救命できた。病変部位により、人工腱索やedge-to-edge repair等の弁形成や弁輪縫縮を行う事で、人工弁置換を回避できた。