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[II-OR202-01] Fontan converion適応決定のための肝耐術能評価
キーワード:Fontan conversion、肝耐術能、体外循環時間
【背景】Fontan conversion(FC)は不整脈など合併症出現時に施行されるが、近年、より早期の予防的FCが考慮される。一方、体外循環時間(CPB)がFC後早期死亡率に関連する報告が散見される。CPB 規定因子は組織癒着程度,止血時間,術式の複雑さと予想される。主な止血時間規定因子は肝機能だが肝耐術能評価は不十分である。【目的】肝耐術能評価によりFC施行時期を再考する。【方法】対象は2013年4月から2015年12月に当院でFCを施行した18名。1.手術時間(ope)、CPB、2.術中新鮮凍結血漿 (FFP)・血小板輸血(PC)使用量、3.既存の肝線維化指標 (APRI, FIB-4, Fibroindex, Forn’s indexおよび肝elastgraphyで算出されるヤング率)の関連について検討した。【結果】ope(中央値526分, 256-934)、CPB(295分, 131-607)はFFP(14単位, 0-76)(ope; R=0.640, CPB; R=0.873)、PC(20単位, 0-60)(ope; R=0.526, CPB; 0.709)と有意な相関関係を示した。FFP,PCと最も強い相関を示した肝線維化指標はForn’s index (7.811 - 3.131 * ln(Plt[109/L]) + 0.781 * ln(rGTP[IU/L]) + 3.467 * ln(age) - 0.014 * cholesterol[mg/dl] )であった(FFP; R=0.657, PC; R=0.373)。【考察】FFP, PCが多い手術は止血難渋例と推察される。Forn’s index高値の止血困難例で、大量FFP,PCを要しbeating下では止血困難と判断、CPB延長例が存在した。一方、CPB中の肝静脈血酸素飽和度や肝薬物排泄能低下を示す報告もあることから、術式の複雑さなどによりCPB延長の結果、肝虚血時間延長による肝止血能低下増悪を招き、FFP,PCが増加した可能性もある。【結論】CPB 、FFP,PCおよび肝機能は相互に影響し合っていると予想される。FC時期を検討する際には、想定される組織癒着程度や術式を念頭に、外来採血でも簡便に算出可能なForn’s indexにより肝耐術能を評価することが重要である。最後にForn’s index高値のため肝耐術能なし、FC不適応とした実例を提示したい。