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[II-OR202-03] 正常左心室を有し、大動脈二尖弁を伴う左室流出路狭窄に対する治療戦略
キーワード:左室流出路狭窄、2心室修復、複雑心奇形
(背景)正常な左心室容量を有し、大動脈二尖弁を伴う左室流出路狭窄(大動脈弁狭窄、大動脈狭窄、大動脈弓低形成、大動脈縮窄)に対し、当院では本症例群に対してNorwood手術をまず行い、術後心臓カテーテル検査にて心室容量を測定する。特に右室は心内リルーティングによる容量減少を考慮し、推定術後右室容量(eRVEDVI)を計測したうえで80% of normal以上であればRastelli手術を行う。またeRVEDVI が80-90% of normalの群はRastelli術後CVP、BNPが高値になる症例を経験したことから2015年以降、心房間にfenestrationを作成する方針としている。(目的)本症例群に対する当院の治療戦略の妥当性を検討すること。(対象と方法)本治療方針を採用する当院及び北里大学、群馬県立小児医療センターにて2005年4月から2015年12月の間に出生し、Norwood手術を行った正常左心室容量、僧帽弁輪径を有し、心室中隔欠損及び先天性大動脈二尖弁を伴う左室流出路狭窄10例。術前、術後検査所見を後方視的に検討した。(結果)平均経過観察期間は6.8±3.6年(中央値8.5年)。手術死亡、遠隔死亡ともに無し。術後NYHAは全例class I 。Norwood手術後平均eRVEDVIは95.2±21.8 % of normal。10例中、1例はeRVEDVIが74% of normalであり、最終的にフォンタン手術を施行。8例がRastelli型手術を行い、1例はeRVEDVI が81% of normal であった為fenestration作成した。1例がRastelli手術待機中。再手術回避率は5年で53.6%であったが、左心系に対する再手術はなかった。Rastelli術後平均CVP は7.7mmHg、fenestration作成した症例も8mmHgと低値であった。(結語)当院の治療方針により、本症例群における大動脈弁に対するintervention、左心系への再手術を回避することが可能である。eRVEDVIが80%台の症例ではfenestrationを追加することで更に良好な成績が期待できることがわかった。