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[II-OR202-04] 完全型房室中隔欠損症に対するscoop indexを用いた術式選択
キーワード:完全型房室中隔欠損症、scoop index、modified single patch technique
【目的】近年当科では完全型房室中隔欠損症 (cAVSD) の治療に際し, VSDの大きさに加えてscoopingの程度も勘案している. indexed VSD (VSD depth [mm] / BSA [m2]) < 25 mm/m2とscoop index (大動脈弁輪-心尖部間距離 / VSD下縁-心尖部間距離) < 1.60を満たす例ではmodified single patch (mSP) 法を, その以外ではtwo patch (TP) 法を行うことを基本としてきた. 当治療戦略の妥当性を検討した. 【対象】1998年から2014年の間に心内根治術を施行したcAVSD連続61例の内, mSP法を行った15例 (mSP群) とTP法を行った46例 (TP群) を対象とした. 肺動脈絞扼術先行はmSP群2例 (13%):TP群32例 (70%), 手術時月齢はmSP群4 (0-165) ヶ月:TP群15 (2-66) ヶ月, 手術時体重はmSP群4.3 (3.2-46) kg:TP群8.1 (3.3-19) kg, index VSDはmSP群19 (5.9-25) mm/m2:TP群28 (10-58) mm/m2, scoop indexはmSP群 [11例計測] 1.25 (1.04-1.48):TP群 [14例計測] 1.52 (1.24-2.70) であった. 【結果】ECC時間はmSP群194 ± 57分:TP群252 ± 47分 (p < 0.01), ACC時間はmSP群118 ± 29分:TP群156 ± 33分 (p < 0.01) であった. 早期死亡をmSP群に1例 (IVS血腫によるLOS), 遠隔死亡をTP群に1例 (Vf) 認めた. 再手術として, Lt.AVVRに対する弁形成がmSP群2例:TP群4例 (NS), Lt.AVVRに対する弁置換がTP群1例, LVOTOに対するRoss-Konno手術がTP群1例であった. 最終心エコーでのLVOT流速はmSP群1.4 ± 0.2 m/s:TP群1.5 ± 0.5 m/s (NS) であり, indexed VSDとは相関を認めなかったが, scooping indexとは正の相関傾向を認めた (mSP群p = 0.07:TP群p = 0.06). 回帰直線にて算出した, 術後LVOT流速が2 m/sとなる推定scoop indexはmSP群1.87:TP群2.33であった. 【結論】LVOTO低減の点でTP法はよりscoopingの深い症例に対応できるが, 人工心肺時間を短縮できるmSP法がLVOTOを起こすことなく適応できる症例の抽出にscoop indexは有用と考えられた.