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[II-PD02-01] 小児と成人フォンタン患者の心血行動態と予後との関連の比較
背景:小児フォンタン術後病態は軽度低酸素血症と中心静脈圧(CVP)上昇を伴う前負荷不良による低心拍出量(CO)を血行動態的特徴とする低心拍出量心不全とされる。しかし、長期予後を含めた心不全重症度とこれら血行動態指標との関連は明確でない。目的:フォンタン術後遠隔期の血行動態指標と予後(死亡)との関連を明らかとする。方法と結果:我々は術後6か月以上生存し、血行動態が評価された連続431例(小児[<18歳]、261例、成人[≧18歳]170例)をCVP(mmHg)、心係数(CI:L/min/m2)、体心室容積(EDVI:ml/m2)と駆出率(EF:%)および酸素飽和度(SpO2:%)と検査後5年間の死亡との関連を検討した。検査後5年間の経過観察で小児22例、成人15例の計37例が死亡し、両群の死亡率に差はなかった(p=0.77)。小児死亡原因は心不全8例、突然死6例、蛋白漏出性胃腸症4例とその他4例で、成人死亡原因は心不全6例と突然死、手術関連および悪性腫瘍が各々3例であった。小児、成人とも高CVP(各々:HR=1.36、1.29、p<0.01-0.0001)、拡大したEDVI(各々:HR=1.01、1.03、p<0.01)と低酸素(各々:HR=0.93、0.90、p<0.001)が死亡を予測した。小児と成人患者のCVP、EDVIおよびSpO2のカットオフ値は各々13と11、144と101、および94と92であった。低EFは小児のみ死亡を予測した(HR=0.42、p<0.0001、カットオフ値43)。一方、CIは小児で低CIが(HR=0.41、p<0.01)、成人では逆に高CIが(HR=2.21、p<0.05)死亡を予測し、カットオフ値は各々2.46と2.90であった。結論:フォンタン循環破綻は小児期の体心室収縮性低下に伴う低心拍出量病態から成人期の体心室収縮性低下を伴わない高心拍出量病態へ以降し、いずれもCVP上昇から死亡に至る。従って、長期予後改善には破綻様式に充分に考量した戦略が必須である。