The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

パネルディスカッション4(II-PD04)
「患者・家族支援を考える」 - Social support system of patients and their families -

Thu. Jul 7, 2016 4:10 PM - 5:40 PM 第E会場 (シンシア ノース)

座長:
西畠 信(総合病院鹿児島生協病院 小児科)
檜垣 高史(愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学)

II-PD04-01~II-PD04-04

4:10 PM - 5:40 PM

[II-PD04-02] 生活の困窮が予想される3人の成人先天性心疾患患者に必要な社会支援は?

大津 幸枝1, 岩本 洋一2, 石戸 博隆2, 増谷 聡2, 先崎 秀明2 (1.埼玉医科大学総合医療センター 看護部, 2.埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

【背景】先天性心疾患(ACHD)患者の医療費は症例により高額で、小児期に受けられた支援終結や患者・家族の高齢化は生活や医療継続可否に大きな影響を与える。適切な社会支援や、そのためのガイドが必要であった3例について、困難な状況と対処を検討する。
【事例】
事例1.海外でFontan術後、19歳で帰国し、20歳で不整脈発症を機に内服薬増加、肺血管拡張薬追加により医療費が著増した。肺血管拡張薬の経済的負担は大きく、生活が困窮した。高現給の手続きにより自己負担額が減額につながった。2015年7月から難病指定になりさらに減額できる可能性がある。
事例2.12歳で肺動脈性肺高血圧と診断。13歳からフローラン(PG12)持続静注療法開始。24歳、頭痛のためシルデナフィルからアドシルカ(タダラフィル)に内服変更。在宅酸素療養中。難病指定取得により、自己負担額が減額され、障害年金の給付も受けている。
事例3. 31歳。心内膜床欠損術後・21トリソミー。知的障害があるため家族付き添いによる通院。家族の高齢化により通院困難が生じたが救済処置として生活保護を受け、通院を含めた医療の継続が可能となった。
【考察】ACHD 患者の医療費は、経年変化により心不全・不整脈の悪化、再手術必要性、他疾患の併存などにより増加が見込まれる。事例1は社会支援整備が後手になった帰国例で、こうした稀な状況でも遅滞なく適切な情報提供ができるよう、院内整備を行った。事例3は、発達・就労の問題、家族高齢化と健康悪化により生活基盤自体が悪化した。日本の医療保険制度は手厚いが、社会支援を得るには利用者の申請が必要である。最適な医療費・社会支援は個々人により異なり、非常に複雑で制度も変容する。従って、最適な社会支援が受けられるよう、医療者が理解を深めることと院内多職種連携が重要と考える。