8:40 AM - 10:10 AM
[II-PD06-04] QT延長症候群
パネルディスカッション6
学校心臓検診の意義:各疾患毎のアウトカムから探る
QT延長症候群
国立病院機構鹿児島医療センター小児科
吉永正夫
1957年に先天性難聴とQT延長、突然死との関係が報告1)されてから60年弱しか経過していない。その間に主要な責任遺伝子が解明され始め2), QT延長症候群 (LQTS) の病因解明、診断、治療は急速な進歩を遂げている。日本においては1994年に法律による小・中・高1年生の学校心臓検診 (心検) が始まった。最初の報告から37年、責任遺伝子が判明する1年前になる。
一般集団における小児期のLQTSの頻度は心臓検診があって初めて得られた情報である。心検で診断可能なLQTSの頻度は小学1年で1/3300 (10名/32,982名), 中学1年で1/1000 (32名/34,572名) 程度になる3)。
LQTSに占める心検の役目は極めて大きい。日本のLQTS患児483例を診断機会別にみると心検抽出群 (心検群) が65%、症状出現による診断群が14%、家族検診・その他群が21%になる (未発表データ)。遺伝学的変異が判明した患児で比較すると、心検群と心検以外群 (症状受診群+その他群)との間に主要責任遺伝子 (LQT1, 2, 3) の頻度および変異部位に全く差がないことが知られている4)。診断時における症状既往 (13% vs 65%, P<0.001)、診断後の症状出現 (17% vs 35%, P=0.03) の頻度ともに心検群が有意に低く、早期診断と症状出現予防に寄与していることを示している。
全世界での報告は症状出現者と家族検診でのデータになる。一般集団での情報を収集できるのは心検のある日本だけである。2013年に三大陸不整脈学会が提唱したLQTSの新しい診断基準5)に準拠した患児での後方視的および前方視的調査を行いたいと考えている。御協力いただけると幸いである。
1. Jervell A, Lange-Nielsen F. Am Heart J 1957; 54: 59.
2. Wang Q, et al. Cell 1995;12:17.
3. Yoshinaga M, et al. Eur Heart J 2016; in press.
4. Yoshinaga M, et al. Circ Arrhyth Electrophysiol 2014.
5. Priori SG, et al. Heart Rhythm 2013.
学校心臓検診の意義:各疾患毎のアウトカムから探る
QT延長症候群
国立病院機構鹿児島医療センター小児科
吉永正夫
1957年に先天性難聴とQT延長、突然死との関係が報告1)されてから60年弱しか経過していない。その間に主要な責任遺伝子が解明され始め2), QT延長症候群 (LQTS) の病因解明、診断、治療は急速な進歩を遂げている。日本においては1994年に法律による小・中・高1年生の学校心臓検診 (心検) が始まった。最初の報告から37年、責任遺伝子が判明する1年前になる。
一般集団における小児期のLQTSの頻度は心臓検診があって初めて得られた情報である。心検で診断可能なLQTSの頻度は小学1年で1/3300 (10名/32,982名), 中学1年で1/1000 (32名/34,572名) 程度になる3)。
LQTSに占める心検の役目は極めて大きい。日本のLQTS患児483例を診断機会別にみると心検抽出群 (心検群) が65%、症状出現による診断群が14%、家族検診・その他群が21%になる (未発表データ)。遺伝学的変異が判明した患児で比較すると、心検群と心検以外群 (症状受診群+その他群)との間に主要責任遺伝子 (LQT1, 2, 3) の頻度および変異部位に全く差がないことが知られている4)。診断時における症状既往 (13% vs 65%, P<0.001)、診断後の症状出現 (17% vs 35%, P=0.03) の頻度ともに心検群が有意に低く、早期診断と症状出現予防に寄与していることを示している。
全世界での報告は症状出現者と家族検診でのデータになる。一般集団での情報を収集できるのは心検のある日本だけである。2013年に三大陸不整脈学会が提唱したLQTSの新しい診断基準5)に準拠した患児での後方視的および前方視的調査を行いたいと考えている。御協力いただけると幸いである。
1. Jervell A, Lange-Nielsen F. Am Heart J 1957; 54: 59.
2. Wang Q, et al. Cell 1995;12:17.
3. Yoshinaga M, et al. Eur Heart J 2016; in press.
4. Yoshinaga M, et al. Circ Arrhyth Electrophysiol 2014.
5. Priori SG, et al. Heart Rhythm 2013.