第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム12(II-S12)
小児循環器医療におけるシミュレーション医学の最前線

2016年7月7日(木) 10:25 〜 11:55 第B会場 (天空 センター)

座長:
白石 公(国立循環器病研究センター 小児循環器部)
板谷 慶一(京都府立医科大学 心臓血管外科)

II-S12-01~II-S12-08

10:25 〜 11:55

[II-S12-04] 冠動脈血流・心筋虚血の評価シミュレーション

深澤 隆治 (日本医科大学付属病院 小児科)

冠動脈血行動態を評価するにあたっては、形態的評価はもちろんのこと、その血流を評価し、血行障害、ひいては心筋虚血の有無を評価することが重要である。小児領域における冠動脈異常では、先天性の冠動脈異常や川崎病冠動脈障害における評価が問題となる。特に川崎病では、複数の冠動脈が障害を受けるMulti vessel diseaseであり、その複雑な血行動態から虚血の評価においては形態評価だけでは限界がある。現在、冠動脈の狭窄による虚血を評価する手段として最も信頼が高いものは、薬物負荷による冠動脈最大充血時に安静時に比べどれほど冠動脈血流が増多するかを評価するCoronary Flow Reserve (CFR) および、薬物負荷による最大冠動脈拡張時に冠動脈近位部と遠位部の圧格差を同時測定し、その圧格差を評価するFractional Flow Reserve (FFR)がGold Standardとしてあげられる。しかしながら、いずれもの評価もカテーテル検査が必要であり、侵襲的な検査となる。近年、侵襲的方法を用いずに冠動脈血流をいかに評価するか、様々なModalityが開発され、その有用性が報告されている。今回、①冠動脈CT検査と負荷心筋シンチ画像をFusionさせ、虚血領域の責任血管を明確にするハイブリッド法、②冠動脈CT検査において冠動脈CT値の減衰を評価する方法(Transluminal Attenuation Gradient: TAG)、③FFRCTと呼ばれる、冠動脈造影CTからコンピュータ解析により、FFRを算出する方法、④アンモニアPETにより心筋の局所的FFRを算出する方法、をそれぞれ紹介し、小児領域における冠動脈血流評価への今後の応用を考えていく。