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[II-S12-05] 3Dプリンタ造形技術を用いたシミュレーション技術と進歩と応用
近年MSCTやMRなどを用いた3次元画像診断装置が発達し、様々な医療の分野で広く応用されるようになってきた。小児循環器領域においても、複雑な先天性心疾患の心血管系のリアルな3次元画像を描出することが可能となり、大血管異常の3次元構造やMAPCAの立体的な走行などが把握しやすくなり、心臓外科手術の重要な補助手段として定着してきた。しかしながら、平面モニター上に映し出される3次元画像は、実は陰影をつけただけの見かけの3次元画像に過ぎず、実際の臓器の立体構造を忠実に表現している訳ではない。画像診断技術のさらなるステップアップとして必要なことは、これまでの視覚を中心としたシミュレーションだけではなく、視覚と同時に触覚にも訴えかける臓器レプリカの作成が必要と考えられる。とりわけ立体構造が複雑な先天性心疾患においては、実物大で正確な内部構造と心臓に近い感触を兼ね備えた精密レプリカを作成し、実際に手で触れ、メスで切開して内部をくまなく観察し、時には縫合することにより手術シミュレーションを行うことが重要である。今回は、最近の急速に進歩しつつある3Dプリンター技術の特徴と様々な臓器への応用について解説するとともに、画像シミュレーション技術の今後の展開についても紹介する。