10:25 〜 11:55
[II-S12-06] フォンタン循環におけるフェネストレーションの位置とその役割:3Dマルチスケール循環モデルによる解析
【目的】Fontan術後の低心拍出の改善目的で、心外導管から心房へのFenestrationが作成されるが、作成する位置、またFenestrationによる血行動態への影響に関する理論的な解明は完全にはなされていない。3次元マルチスケールFontan循環モデルにより、異なった環境下、呼吸条件を加味した条件下でFenestrationのFontan循環に与える影響を解析した。
【方法】Extracardiac TCPCを施行した12歳男児の術後CT画像をもとに、右心系解剖を3次元に再構築した。心外導管の上部・中央部・下部に直径4 mmのFenestrationを作成した。支配方程式はナビエストークスの式及び連続の式を用いた。呼吸の影響を考慮した条件、及び異なる中心静脈圧(10, 15, 20 mmHg)を定めた。血行動態の評価として、Fenestration通過による中心静脈圧の変化、Fenestrationの通過血流量、壁せん断応力(WSS)、拍動流仕事率指数(PPI)、拍動流エネルギー損失指数(PELI)を評価した。
【結果】呼吸条件下、中心静脈圧19 mmHgにおいて、Fenestrationの通過血流量は中央部で5.1ml/s、下部、上部がそれぞれ4.8, 4.6 ml/sであり、平均静脈圧の低下率は中央部のFenestrationが1.4%、下部、上部が0.6, 0.9%であった。平均PPIは、中央部が0.025と最大で、同様にPELI値は、中央部で0.43と最大であった。中心静脈圧15 mmHgの条件では、Fenestration通過血流量は中央部で3.4 ml/s、下部、上部でそれぞれ3.2, 3.1 ml/sであった。中心静脈圧10mmHgでは同様にFenestrationの通過血流量は中央部が0.8 ml/sと最大であった。
【結論】高い中心静脈圧では、拍動流のエネルギー損失は中央部のFenestrationで最大になるものの、中央部のFenestrationが最もFenestrationの通過血流量が多く、中心静脈圧を下げる効果が高かった。中心静脈圧が中等度か低い状態でも同様に、中央部のFenestrationで最も通過血流量が多かったがその効果は軽微であった。
【方法】Extracardiac TCPCを施行した12歳男児の術後CT画像をもとに、右心系解剖を3次元に再構築した。心外導管の上部・中央部・下部に直径4 mmのFenestrationを作成した。支配方程式はナビエストークスの式及び連続の式を用いた。呼吸の影響を考慮した条件、及び異なる中心静脈圧(10, 15, 20 mmHg)を定めた。血行動態の評価として、Fenestration通過による中心静脈圧の変化、Fenestrationの通過血流量、壁せん断応力(WSS)、拍動流仕事率指数(PPI)、拍動流エネルギー損失指数(PELI)を評価した。
【結果】呼吸条件下、中心静脈圧19 mmHgにおいて、Fenestrationの通過血流量は中央部で5.1ml/s、下部、上部がそれぞれ4.8, 4.6 ml/sであり、平均静脈圧の低下率は中央部のFenestrationが1.4%、下部、上部が0.6, 0.9%であった。平均PPIは、中央部が0.025と最大で、同様にPELI値は、中央部で0.43と最大であった。中心静脈圧15 mmHgの条件では、Fenestration通過血流量は中央部で3.4 ml/s、下部、上部でそれぞれ3.2, 3.1 ml/sであった。中心静脈圧10mmHgでは同様にFenestrationの通過血流量は中央部が0.8 ml/sと最大であった。
【結論】高い中心静脈圧では、拍動流のエネルギー損失は中央部のFenestrationで最大になるものの、中央部のFenestrationが最もFenestrationの通過血流量が多く、中心静脈圧を下げる効果が高かった。中心静脈圧が中等度か低い状態でも同様に、中央部のFenestrationで最も通過血流量が多かったがその効果は軽微であった。