10:25 AM - 11:55 AM
[II-S12-07] 完全大血管転位症の血行動態シミュレーション
【背景】並列循環を有する完全大血管転位症(TGA)は、酸素飽和度の維持のために出生直後から右心・左心系の血液のMixingが必須であるが、心房・心室・動脈管レベルのMixingが、TGA血行動態に与える影響の差異の詳細は不明であり、その理解はTGA術前管理の向上につながる重要なものである。
【方法】心室に時変エラスタンスモデル、血管系に3要素Windkesselモデルを用いTGAの全身循環の0次元数学モデルを作成した。電気抵抗の高さで、心房中隔欠損(ASD)・心室中隔欠損(VSD)のサイズを大、中、小、閉鎖の4段階、動脈管(PDA)のサイズを中、小、閉鎖の三段階で変化させ、酸素飽和度と心係数(CI)の変動を観察した。
【結果】70%の酸素飽和度を達成するためのシャントのサイズのパターンとして以下の7つの組み合わせを同定した。I型のTGAでは大きいASD+PDA閉鎖(モデル1、CI 2.9)または中等度ASD+中等度PDA(モデル2, CI 3.4)。II型のTGAでは、小さいVSDの場合大きいASD+PDA閉鎖(モデル3, CI 3.3)または中等度ASD+小さいPDA(モデル4, CI 3.0)、中等度VSDの場合は小さいASD+PDA閉鎖(モデル5, CI 3.1)、大きいVSDの場合はASD閉鎖+中等度PDA(モデル6, CI 3.2)または小さいASD+PDA閉鎖(モデル7, CI 3.0)。I型TGAや小さいVSDの場合、MixingをASDに頼るモデル(1, 3)の方がPDAに頼るモデル(2, 4)に比べCIが高かった。また、肺血管抵抗が50%減少した場合に、前者では酸素飽和度が7%、CIが4%増加したのに対し、後者では酸素飽和度が13%上昇、CIが7%減少した。VSDに頼るモデル(5,6,7)はいずれも肺血管抵抗の低下によりCIの低下を認めた。
【考察】TGAにおいては、VSDのサイズの違いにより、最低限必要なASD,PDAのサイズが異なる。心房レベルのシャントを利用して酸素飽和度を維持する方が、肺血管抵抗が低下した時の心拍出量の低下を起こしにくい可能性が示唆された。
【方法】心室に時変エラスタンスモデル、血管系に3要素Windkesselモデルを用いTGAの全身循環の0次元数学モデルを作成した。電気抵抗の高さで、心房中隔欠損(ASD)・心室中隔欠損(VSD)のサイズを大、中、小、閉鎖の4段階、動脈管(PDA)のサイズを中、小、閉鎖の三段階で変化させ、酸素飽和度と心係数(CI)の変動を観察した。
【結果】70%の酸素飽和度を達成するためのシャントのサイズのパターンとして以下の7つの組み合わせを同定した。I型のTGAでは大きいASD+PDA閉鎖(モデル1、CI 2.9)または中等度ASD+中等度PDA(モデル2, CI 3.4)。II型のTGAでは、小さいVSDの場合大きいASD+PDA閉鎖(モデル3, CI 3.3)または中等度ASD+小さいPDA(モデル4, CI 3.0)、中等度VSDの場合は小さいASD+PDA閉鎖(モデル5, CI 3.1)、大きいVSDの場合はASD閉鎖+中等度PDA(モデル6, CI 3.2)または小さいASD+PDA閉鎖(モデル7, CI 3.0)。I型TGAや小さいVSDの場合、MixingをASDに頼るモデル(1, 3)の方がPDAに頼るモデル(2, 4)に比べCIが高かった。また、肺血管抵抗が50%減少した場合に、前者では酸素飽和度が7%、CIが4%増加したのに対し、後者では酸素飽和度が13%上昇、CIが7%減少した。VSDに頼るモデル(5,6,7)はいずれも肺血管抵抗の低下によりCIの低下を認めた。
【考察】TGAにおいては、VSDのサイズの違いにより、最低限必要なASD,PDAのサイズが異なる。心房レベルのシャントを利用して酸素飽和度を維持する方が、肺血管抵抗が低下した時の心拍出量の低下を起こしにくい可能性が示唆された。