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[II-S13-05] 心疾患を伴う先天奇形症候群で、マイクロアレイ染色体検査によりMowat-Wilson症候群と診断された2例
【背景】先天性心疾患を有する患者の約20%は心外奇形を合併し、そのさらに半数近くに染色体異常が検出される。心疾患を伴う先天奇形症候群の遺伝学的診断には、マイクロアレイ染色体検査によるゲノムコピー数異常の検索が有用である。【症例】症例1は1歳8か月女児。在胎40週5日、1571 gで出生、眼間開離、眼瞼裂斜下、薄い眉毛、耳介奇形、目立つ鼻尖、尖った下顎など顔貌異常が認められた。肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損・右側大動脈弓・左動脈管開存に対し、1歳0か月時に心内修復術が施行された。精神運動発達遅滞を伴い、現在も未歩行で、有意語は無い。経口摂取困難のために経管栄養に依存している。症例2は11歳女児。在胎40週2日、3145 gで出生。心房中隔欠損・左肺動脈右肺動脈起始症に対し、2歳時に修復手術が施行された。顔貌異常に加え、てんかん、重度精神運動発達遅滞を伴い、現在も未歩行で有意語は無い。いずれの症例もG分染法では染色体構造異常は検出されず、ついでマイクロアレイ染色体検査が実施された。両児で、ZEB2遺伝子を含む2q22.1-q22.3領域の微細欠失が検出され、Mowat-Wilson症候群の確定診断に至った。【考察】Mowat-Wilson症候群は、2q22.3領域に存在するZEB2遺伝子のヘテロ変異あるいは欠失により発症する、疾患頻度9万人に1人と稀な先天奇形症候群である。心血管奇形のほか様々な全身合併症を有し、重度の精神運動発達遅滞も伴うことから、患者は生涯にわたる総合的ケアを必要とする。症候学に基づく診断は必ずしも容易でないが、遺伝学的診断法を駆使し、正確な診断や病態把握に活用することで、適切な患者支援に資すると期待される。