08:40 〜 09:20
[II-TOR01-05] 心筋炎に対する体外式膜型人工肺(ECMO)導入例の適応判断の現状
キーワード:心筋炎、ECMO、予後
【背景】心筋炎は、無症候性から短時間で心停止にいたる例まで重症度が極めて広い。内科的治療抵抗性の循環不全に対する体外循環は有用だが、その適応基準は明確でない。
【目的】A病院の心筋炎に対するECMO導入例の適応判断について現状を明らかにすること。
【方法】2002年4月から2015年12月までにA病院に入院した18歳未満の心筋炎40例についてECMO導入群(E群)とECMO非導入群(N群)に分け、臨床像、検査所見、予後を比較した。
【結果】E群19例(男性7例、平均年齢5.9±3.2歳)、N群21例(同12例、4.5±4.5歳)であった。低血圧性ショック、脈拍数異常を認めた例は両群間で差はなく(p=0.20、p=0.23)、E群では完全房室ブロック、心室頻拍、心室細動といった致死的不整脈が多く(15例 vs. 3例、p<0.01)、CPK(2540±3130 vs. 988±1670 IU/L)、AST(1660±3800 vs. 207±195 IU/L)、LDH(2460±4130 vs. 799±609 IU/L)が高値であった(p<0.05)。レントゲン検査での心胸郭比(53.2±5.3 vs. 57.5±6.2%)、心臓超音波検査での左室拡張末期径のz-value(0.05±1.29 vs. 2.79±2.79)はE群で低値であった(p<0.05)。生存退院率はE群79%、N群100%であった。院外心停止4例中3例は死亡退院であり、生存退院例も重度の神経学的後遺症を残し遠隔期に死亡した。
【考察】致死的不整脈や末梢臓器障害を示唆する逸脱酵素の上昇、左室拡大のない例でECMO適応となる傾向がみられた。これらを適応判断とする心筋炎のECMO導入例の予後は満足しうるものであった。一方で院外心停止のECMO症例の生存率は低く、生存した場合の神経学的転帰は不良であった。
【結論】心筋炎において、致死的不整脈や逸脱酵素の上昇、左室拡大によるECMO適応判断は妥当であると考えられた。
【目的】A病院の心筋炎に対するECMO導入例の適応判断について現状を明らかにすること。
【方法】2002年4月から2015年12月までにA病院に入院した18歳未満の心筋炎40例についてECMO導入群(E群)とECMO非導入群(N群)に分け、臨床像、検査所見、予後を比較した。
【結果】E群19例(男性7例、平均年齢5.9±3.2歳)、N群21例(同12例、4.5±4.5歳)であった。低血圧性ショック、脈拍数異常を認めた例は両群間で差はなく(p=0.20、p=0.23)、E群では完全房室ブロック、心室頻拍、心室細動といった致死的不整脈が多く(15例 vs. 3例、p<0.01)、CPK(2540±3130 vs. 988±1670 IU/L)、AST(1660±3800 vs. 207±195 IU/L)、LDH(2460±4130 vs. 799±609 IU/L)が高値であった(p<0.05)。レントゲン検査での心胸郭比(53.2±5.3 vs. 57.5±6.2%)、心臓超音波検査での左室拡張末期径のz-value(0.05±1.29 vs. 2.79±2.79)はE群で低値であった(p<0.05)。生存退院率はE群79%、N群100%であった。院外心停止4例中3例は死亡退院であり、生存退院例も重度の神経学的後遺症を残し遠隔期に死亡した。
【考察】致死的不整脈や末梢臓器障害を示唆する逸脱酵素の上昇、左室拡大のない例でECMO適応となる傾向がみられた。これらを適応判断とする心筋炎のECMO導入例の予後は満足しうるものであった。一方で院外心停止のECMO症例の生存率は低く、生存した場合の神経学的転帰は不良であった。
【結論】心筋炎において、致死的不整脈や逸脱酵素の上昇、左室拡大によるECMO適応判断は妥当であると考えられた。