The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)03(II-TOR03)

Thu. Jul 7, 2016 10:10 AM - 11:00 AM 第F会場 (シンシア サウス)

座長:
権守 礼美(神奈川県立こども医療センター)

II-TOR03-01~II-TOR03-05

10:10 AM - 11:00 AM

[II-TOR03-05] 自医療圏で治療できない先天性心疾患の子どもをもつ母親の病気に対する捉えと対応

中垣 紀子1, 原 卓也2, 大野 拓郎2 (1.大分県立病院 小児科外来, 2.大分県立病院 小児科)

Keywords:自医療圏、先天性心疾患、母親

【背景】A県は手術可能な施設がなく、県外で手術を行っている状況である。先天性心疾患の子どもの母親は育児上の困難を抱えているが、自医療圏で手術できない子どもの母親に関する先行研究はほとんどみうけられなかった。今回、1事例を通して外来看護師の役割について検討する。【目的】自医療圏で治療できない先天性心疾患の子どもをもつ母親の病気に対する捉えと対応を明らかにする。【方法】B病院外来通院中のフォンタン手術後の幼児の母親に対し、半構造的面接を実施。母親に最終手術までの経過を振り返り、捉えや対応について語ってもらい、質的帰納的に分析した。倫理的配慮として院内の研究倫理委員会の承認を受け、母親に研究目的、方法、プライバシーの保護などについて口頭で説明し同意を得た。【結果・考察】母親の捉えと対応は以下であった。胎児診断後、母親は【わが子が心臓病という実感のなさ】を感じ、【わが子への悲観】をしたものの、【家族の精神的支援】を得ていた。県外のC病院へ転院してから、【母子分離によるうつ状態】となり、【自分のできる役割をみつけ】ていた。付き添い入院の時期は【県外の入院生活での孤独とストレス】や【県外の入院生活での負担】を抱えていたが、【同じ立場の母親との交流を得】ていた。チアノーゼがある時期は、【子育ての不安や困難さ】から【子育て方法を工夫】し、【感染予防のために自宅にこも】っていた。徐々に【わが子は大丈夫】と信じ、フォンタン手術を迎える時期には、【子育てへの自信】をもち、【意外に普通に過ごすわが子】と捉えていた。就園については【成長発達に伴う新たな課題】から【周囲の理解を得る工夫】し、就園後は手術痕を気にするわが子に【がんばった証拠と説明】した。家族が安心して治療に向かうことができるように県外の病院との連携を深め、よりよい支援体制を構築していく必要があると考えた。