The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)04(II-TOR04)

Thu. Jul 7, 2016 11:05 AM - 11:45 AM 第F会場 (シンシア サウス)

座長:
青木 雅子(武蔵野大学看護学部 小児看護学)

II-TOR04-01~II-TOR04-04

11:05 AM - 11:45 AM

[II-TOR04-01] 先天性心疾患術後遠隔期の就学期患児における身体活動の行動変容ステージと身体活動セルフエフィカシーの関係について

藤田 吾郎1, 浦島 崇2 (1.東京慈恵会医科大学附属病院 リハビリテーション科, 2.東京慈恵会医科大学 小児科学講座)

Keywords:行動変容ステージ、セルフエフィカシー、心臓リハビリテーション

【背景】成人心疾患領域では、身体活動を習慣化するための行動変容と身体活動セルフエフィカシー(SEPA)に関する報告が散見されるが、先天性心疾患(CHD)領域では殆どない。【目的】CHD術後遠隔期患児と健常児における身体活動の行動変容ステージ(SOC)およびSEPAを比較検討する。【方法】対象はCHD術後遠隔期の就学期の患児15例(12.4±1.5歳)と健常児23例(12.8±2.9歳)。SOCの評価は子ども用身体活動行動変容段階尺度、SEPAは子ども用身体活動セルフエフィカシー尺度を用いた。また背景因子として、心肺運動負荷試験による運動耐容能の評価を実施した。統計解析は、SOCが無関心期、関心期、準備期の児を運動習慣なし(N群)、実行期、維持期の児を運動習慣あり(E群)と分類し、CHD群と健常群のSOCの比率についてFisherの正確検定を行った。またCHD群と健常群のSEPA得点、さらにCHD患児におけるN群とE群の2群間のSEPA得点について、それぞれMann-WhitneyのU検定を行った。【倫理的配慮】A大学倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】peak VO2はCHD群76.7±10.3% of normal、健常群92.3±17であった(p<0.01)。CHD群と健常群のSOCの比較では、運動習慣のあるCHD患児が有意に少なかった(p=0.00487)。またCHD群のSEPA得点は健常群に比べて低値であったが(p<0.01)、CHD患児におけるN群とE群のSEPA得点に有意な差はなかった(p=0.06)【考察】CHD患児は健常児に比べて運動習慣が乏しく、SEPAも低かった。これは疾患特異性に基づく低い運動耐容能や生活管理上の問題により、運動の達成体験や生理的な情緒的高揚の経験の少なさが要因と考えられた。一方で、CHD患児の運動習慣の有無でSEPAに有意な差がなかったことは、SEPAが高くても運動習慣を獲得できないような児の存在を示しており、適切な医学的管理や運動処方に基づいた心臓リハビリテーションなど、個別性の高い包括的支援の必要性が推察された。