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[II-TOR05-03] 集中治療における重症患者の末期医療のあり方~補助循環治療中の事例から考える~
キーワード:重症患者、補助循環、末期医療
【背景】集中治療の現場では、末期状態に陥った子どもの治療において、その継続や中止の決定は倫理的課題も大きくどのようなプロセスを踏むのが適切なのか悩むことも多い。【目的】補助循環治療中の事例の治療継続・中止の決定過程を振り返り、重症患者の末期医療のあり方について検討する。【事例紹介】術後経過の中で、補助循環管理となった症例。改善を見込み、補助循環による積極的治療を継続する中でも、合併症の出現や積極的治療の限界について、心臓外科医師だけでなく、救急診療科・集中治療科医師より、段階を踏みながら家族へ説明がなされた。看護師は、元気に子どもが帰ってくると希望をもつ家族の気持ちに寄り添いながら精一杯の治療と看護を提供すると共に、家族の心情の変化を捉えて行った。家族からは、改善する期待を持ちながらも重篤な状況であることを理解し、何らかの決断をする時があることを理解する言動が日々聞かれるようになった。多臓器不全に陥り、状態の改善の見込みがないことが説明された頃には、家族から積極的治療を続けることが子どもにとって最善のことではないという思いが聞かれるようになり、医師・看護師各々が家族の意思を確認。限られた医療者による独断での治療決定とならないよう [補助循環離脱に関する検討会議]を開催し、父母が子どもの代行判断者として適しているか、家族と医療者間の関係性、臨床経過や予後についてタイムリーに説明されているか、家族の意向が複数の医療者によって確認されているか等が確認された。そして「補助循環から離脱して家族と共に看取りのケアを行うことが、お子様の最善の利益に適す」と判断され、補助循環離脱が合議された。【まとめ】末期医療における治療の決定においては、子どもと家族と関係する多くの医療者が、「子どもの最善の利益」について真摯に話し合い、それぞれの価値観や思いを共有し,十分検討するプロセスが重要である。