The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)05(II-TOR05)

Thu. Jul 7, 2016 3:30 PM - 4:20 PM 第F会場 (シンシア サウス)

座長:
萩原 綾子(神奈川県立こども医療センター)

II-TOR05-01~II-TOR05-05

3:30 PM - 4:20 PM

[II-TOR05-04] Fontan術後患者の精神発達について

尾方 綾1, 小野 晋2, 上田 秀明2 (1.神奈川県立こども医療センター 臨床心理室, 2.神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

Keywords:Fontan術後、QOL、精神発達

【背景】
 先天性心疾患の患者の生存率が向上し、患者のQOLへの関心が高まっている。
【目的】
 Fontan術後患者のQOLの向上、将来的な社会的自立を目的として実施している発達検査及び知能検査の結果をまとめ、Fontan術後患者の精神発達について考察する。
【方法】
 対象:A病院で2010年11月~2015年10月に新版K式発達検査2001(以下K式)及びWISC₋Ⅳ知能検査(以下WISC)を受けたFontan術後患者延べ81例。平均年齢3.95歳。
 方法:3歳までの対象者にK式、5歳以上にはWISCを実施。1、2歳(29名)、3歳(19名)、就学前の5、6歳(21名)、就学後の7歳以上(12名)の4群に分け、DQ及びIQ69以下を遅れ、70~84を境界域、85以上を正常域として結果を検討した。
【結果】
1、2歳と3歳を比較した結果、K式の『認知・適応』で正常域の人数に有意差が見られ、1、2歳より3歳の方が正常域の児が少なかった。(χ2=7.06,df=1,p<.05)。
1、2歳のK式の『認知・適応』と『言語・社会』の平均値に有意差が見られ、『認知・適応』より『言語・社会』が低かった(t=2.76,df=28,p<.01)。
 全領域DQ及び全検査IQの正常域の人数の割合は、1、2歳55%、3歳32%、就学前67%、就学後92%であった。
【考察】
 1、2歳は言語能力が低い児が多く、3歳では認知能力も低い児が多い。3歳では他者とのやり取りが必要な検査課題が増えるため、言葉の理解や他者とのやり取りが苦手な児は3歳で遅れが目立ってくる可能性がある。
K式とWISCの単純比較はできないが、年齢が上がるとキャッチアップする可能性がある。3歳以降に集団参加を始める児も多く、集団参加が発達に影響する可能性もあり、今後集団の参加状況など踏まえて検討する必要がある。また、今後縦断的な検討も必要である。