17:20 〜 18:00
[II-TOR07-03] 重症CHD児の成長発達の支援―保育記録と看護記録からの見解―
キーワード:重症CHD児、成長発達支援、多職種との協働
【背景】重症CHD児は、検査や治療・手術のため、乳幼児期に長期的な入院が必要で 、成長発達の遅れに対する保護者の不安も強い。小児医療の分野では、保育士の配置やホスピタル・プレイ・スペシャリスト(以下HPS)、チャイルド・ライフ・スペシャリストなど、子どもの成長発達を専門的な視点で促すことのできる医療スタッフとの協働が浸透しつつある。A病院でも、保育士とHPSが小児医療のパートナーとして活躍している。【目的】入院中の重症CHD児のQOL改善を図るために、保育士と看護師の成長発達に関する視点の相違を知る。【方法】フォンタン手術を行った2歳児の「保育士・看護師連絡票」の記録と看護記録から、重症心疾患児の成長発達に対する視点 の相違点を抽出し検討した。A病院倫理委員会の承諾を得ている。【結果】保育士は、看護師から患児の医療的情報を得た上で、母子関係の観察・子どもの認知運動機能の評価とアプローチ・成長に合わせた 遊びの選択など、社会性や協調性を促進する視点を持って子どもに接していた。接する中で、子どもの喜怒哀楽の表現を記録に残し、段階を踏んで成長発達できるように、子どもの精神の発達をアセスメントしていた。看護師は、患児の循環管理や薬剤管理をしながら、患児の病態を的確に捉えた看護実践と家族看護の視点で母子関係の観察をしていた。【考察】保育士は、個々の子どもの成長発達を中心とする専門的な視点で、入院生活を支援していた。看護師は、医療の専門的な支援者として子どもに関わり、家族を含めた看護の実践を目指していた。しかし、治療と治療に対する子ども の反応に重点を置いており、成長発達の視点が希薄になる傾向があった。「保育士・看護師連絡票」の活用、保育士・看護師が一緒に行う申し送り、ミーティングなどを活用し、互いに補完しながら患児と関わることで、長期入院を必要とする子どもの成長発達支援を充実することが可能と考えられた。