第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)07(II-TOR07)

2016年7月7日(木) 17:20 〜 18:00 第F会場 (シンシア サウス)

座長:
千田 英理子(日本医科大学付属病院 看護部)

II-TOR07-01~II-TOR07-04

17:20 〜 18:00

[II-TOR07-04] 心臓血管外科周術期における看護の質向上への取り組み  ~ICU看護師の手術室研修受け入れ~

吉澤 涼子, 高橋 弥貴 (茨城県立こども病院)

キーワード:周術期、連携、手術室研修

【背景】心臓血管外科手術は、術前の低心機能による末梢循環不全や人工心肺使用による生体への侵襲が大きく、周術期の継続看護が重要とされる。周術期のチーム医療が推奨され、手術室と病棟の連携は必須であるが、手術室は環境的に閉鎖空間にあり、病棟とのタイムリーな情報交換が困難な傾向にある。手術室と病棟がお互いの看護の理解を深められるよう、ICU看護師の手術室研修を開始した。【目的】心臓血管外科手術の周術期に携わる看護師の教育体制を構築する。【方法】手術室とICUの研修担当者で研修目標及び内容を決定した。内容は1、看護技術2、心臓カテーテル検査3、心臓血管外科手術(人工心肺)に分け、限られた時間で段階的に学習できるようにした。研修評価表は手術室とICUの双方で作成し、現場で随時評価するようにした。【倫理的配慮】該当する部署に対して研究目的・内容説明及び院内倫理委員会の承認を得た。【結果・考察】挿管介助やカテーテル挿入介助などの看護技術研修では、実践を中心とした。技術の実践を通したICU看護師との交流は、麻酔による全身状態への影響、起こりうる合併症を予測した周術期管理に繋がる情報共有の場となった。心臓カテーテル検査と心臓血管外科手術では、血行動態や人工心肺についての事前学習内容をもとに知識の確認と見学を中心とした。1回の研修毎に研修者と手術室看護師で振り返りを行い、知識、技術の習得状況や次回の研修課題を明確にした。月毎に部署の担当者間で、研修の進捗状況や病棟での活きた看護実践について情報共有し、手術室看護師に研修者の到達段階や課題についてフィードバックした。手術室看護を病棟に発信することは、看護の振り返りとなり、術中のみでなく術前から術後までを見据えた視点でのアセスメント能力が向上し、専門性の発揮に繋がると予測される。【結論】手術室研修は、周術期における有用な教育体制の1つとなることが示唆された。