1:00 PM - 2:30 PM
[II-TRS01-01] 小児の看取りにおける倫理的課題
近年医療技術の急速な進歩は、従来救命不可能であった病気に対しても医学的治療介入をし、ときに完治できるようになった。一方生命予後不良で回復不可能な末期患者に対しても機械的な操作(人工呼吸器など)により半永続的に延命可能な時代となった。この事実は、患者の生と死が自然な形で経過するのではなく、発達しすぎた医療技術により操作できる人工的な過程に変わってしまったことを示す。こうした中「本人の最善の利益と尊厳を中心に本来傷害行為にあたる医的侵襲行為をどこまでendlessに継続するのか」という倫理的課題が、現在多くの臨床の現場で問われている。
しかし日本では死がタブー化され、医療現場において本人の最善の利益を中心に法的代理人である家族と医療チームの倫理的な話し合いが充分なされていないのが現状である。一方欧米では、そうした臨床倫理教育の導入がなされ、通常の医療行為の範疇で医的侵襲行為の差控えや中止、安らかな看取りのケアやグリーフケアの学術的な研究が進んでいる。
2012年、日本小児科学会倫理委員会の小児終末期ガイドラインワーキンググループが、「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」を公表した。そして家族と医療チームの話し合いによる協働意思決定(shared decision-making)の重要性を学会として正式に提起した。
今後臨床現場で大切になる臨床倫理の基本的なキーワードは、生命・障害予後の科学的判断、侵襲的治療介入の是非、児の最善の利益、協働意思決定、終末期コミュニケーション、事前ケアプランなどである。その土台となる概念は、自然死の容認、緩和ケア、そしてpatient & family-centered care(尊厳・尊重、情報共有、参加、協働)である。その基本的課題は、「どのように予後不良な重症児のトータルケア(いのちの輝きと安らかな看取り)を多職種協働で大切に支援するか」ということである。
しかし日本では死がタブー化され、医療現場において本人の最善の利益を中心に法的代理人である家族と医療チームの倫理的な話し合いが充分なされていないのが現状である。一方欧米では、そうした臨床倫理教育の導入がなされ、通常の医療行為の範疇で医的侵襲行為の差控えや中止、安らかな看取りのケアやグリーフケアの学術的な研究が進んでいる。
2012年、日本小児科学会倫理委員会の小児終末期ガイドラインワーキンググループが、「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」を公表した。そして家族と医療チームの話し合いによる協働意思決定(shared decision-making)の重要性を学会として正式に提起した。
今後臨床現場で大切になる臨床倫理の基本的なキーワードは、生命・障害予後の科学的判断、侵襲的治療介入の是非、児の最善の利益、協働意思決定、終末期コミュニケーション、事前ケアプランなどである。その土台となる概念は、自然死の容認、緩和ケア、そしてpatient & family-centered care(尊厳・尊重、情報共有、参加、協働)である。その基本的課題は、「どのように予後不良な重症児のトータルケア(いのちの輝きと安らかな看取り)を多職種協働で大切に支援するか」ということである。