8:40 AM - 9:30 AM
[III-OR109-02] ファロー四徴症における心内修復術前後の左室機能の検討~ventricular-arterial couplingを用いて~
Keywords:ファロー四徴症、圧容量曲線、周術期管理
【背景と目的】ファロー四徴症(TOF)心内修復術前後における血行動態の変化は右室の圧負荷軽減と左室の容量負荷増加に集約される。術後心不全遷延例の経験より、有効な周術期心不全管理のため、左室機能変化に注目し、左室収縮末期エラスタンス(Ees)と実効動脈エラスタンス(Ea)、およびその連関を用いて経時的な変化を検討する。【対象と方法】2010~2014年間にTOF心内修復術施行(肺動脈閉鎖除く)32例(男17例)を対象とした。心内修復時月齢中央値19か月(8~67か月)、BTシャント術先行16例であった。経胸壁心エコー図検査からmodified Simpson法で算出した左室拡張末期容積率(LVEDVI)・左室収縮末期容積率(LVESVI)と上腕血圧値から、左室収縮機能としてEes=平均血圧/LVESVI、左室後負荷指標としてEa=収縮期血圧/(LVEDVI-LVESVI)、エネルギー効率としてEa/Eesを算出した。心内修復前、直後、術後1年、術後3年の各値を比較検討した。更に術直後の心臓カテーテル検査による肺動脈楔入圧(PAWP)および血漿BNP値とEes、Eaの変化を検討した。【結果】術前、術直後、1年後、3年後のそれぞれにおいて、LVEDVIは42.8→42.0→55.7→59.8ml/mm2、Eaは3.34→4.26→2.90→2.54mmHg・m2/mlであった。LVEDVIは経時的に有意な増加を示し(p<0.01)、Eaは術直後に一過性の上昇を認めたが、以後は低下した(p<0.01)。Eesは経時的に有意な変化はなかった(p=0.053)。一方でEa/Eesは術直後に一過性上昇を生じ、以後低下した。術前LVEDVIが小さい症例では術前後でEesが低下する傾向にあった。BNPとPAWPはEa・Eesと関連はなかった。【考察】左室拡張末期容積率が低下例では術直後にEes低下する傾向にあり、術後積極的に収縮能改善・後負荷軽減に努めるべきである。