08:40 〜 09:30
[III-OR109-04] Fontan術後患者の大動脈Elastic Propertiesの検討
キーワード:Fontan、Aortopathy、stiffness
【背景】単心室はAortopathyの原因の1つとされ、最近Fontan術後患者の大動脈が硬いことを示す報告を散見する。しかし、高肺血流と低肺血流のいずれにも生ずるのか、硬くなる大動脈の部位などその詳細は不明な点が多い。【目的】Fontan術後患者の大動脈のelastic propertiesの詳細を検討すること。【方法】当院で心臓カテーテル検査を施行したFontan術後患者(F群)34例と年齢をマッチさせたcontrol群(C群)15例を対象にした。上行大動脈(aAo)と下行大動脈(dAo)の最大・最小径を正・側面で測定し、血圧からStrain、Distensibility、Stiffness indexを算出した。F群とC群、またaAoとdAoを比較し、大動脈拡大との関係や術前の肺血流の状態、術後年数などについても検討した。【結果】F群は年齢11歳8か月(2歳8か月-37歳11か月)、C群は7歳8か月(0歳11か月-34歳9か月)であった。Fontan前に施行した手術はPA banding 17例、BT shunt 12例、その他5例であった。aAoについて、F群はStrain(%)11.8±3.3、Distensibility(mmHg-110-3) 7.0±2.0、Stiffness index 4.1±1.4で、C群のstrain 18.5±3.6、Distensibity 10.6±2.6、Stiffness index 3.0±0.64と比較して、Strain・Distensibilityは有意に低く、Stiffness indexは有意に高かった(p<0.001)。また大動脈STJ径のz score はF群2.8±1.4、C群0.39±0.70とF群が有意に拡大していた(p<0.001)。dAoについてはF群とC群とでStrain・Distensibility・Stiffness indexに有意差はなかった。F群についてPA banding例とBTS例でStrain・Distensibility・Stiffness indexに有意差はなく、Fontan術後年数、aAoの拡大の程度とも関係はなかった。【結語】Fontan術後患者の上行大動脈は硬く拡大している。その所見は上行大動脈に限られ、術前の肺血流の状態、術後年数や拡大の程度には関係がみられなかったが、例数が少なく今後の検討課題である。