The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

心臓血管機能1

一般口演1-09(III-OR109)
心臓血管機能1

Fri. Jul 8, 2016 8:40 AM - 9:30 AM 第D会場 (オーロラ イースト)

座長:
増谷 聡(埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

III-OR109-01~III-OR109-05

8:40 AM - 9:30 AM

[III-OR109-05] 非侵襲的な肺動脈コンプライアンスの評価方法 -組織ドプラ法を用いた肺動脈弁輪部運動速度による新たな解析ー

早渕 康信, 小野 朱美, 本間 友佳子, 香美 祥二 (徳島大学大学院 医歯薬学研究部 小児科)

Keywords:肺動脈コンプライアンス、肺動脈弁輪部運動速度、組織ドプラ法

【背景】肺動脈コンプライアンスは特発性肺高血圧症、肺高血圧を合併した先天性心疾患や左心不全症例において予後規定因子として重要であり、肺動脈圧・肺血管抵抗よりも有用であると報告されている。しかし、合理的な非侵襲的計測法は示されておらず、継続的に評価できる新たな指標が望まれている。我々は肺動脈の伸展性は短軸方向(血管径方向)だけでなく長軸方向にも認められることに注目し、肺動脈弁輪部運動が肺動脈の伸展性・コンプライアンスを反映するのではないかと考えた。【目的】組織ドプラ法による肺動脈弁輪部運動速度を用いて肺動脈コンプライアンスを評価できるか否かを検証する。【方法】6ヵ月~5歳の心室中隔欠損(VSD) 35例、正常対照(Control) 23例を対象とした。肺動脈・右室流出路長軸像を描出し肺動脈弁輪部運動を記録した。VSD群では心臓カテーテル検査で求めたsystolic pulmonary arterial capacitance (sPAC;肺動脈血流量/脈圧)およびdiastolic pulmonary arterial capacitance (dPAC;肺動脈拡張期圧波形の時定数から算出)をコンプライアンスの指標とした。これらに加えて右室駆出率(RVEF), 右室収縮期圧(RVSP), 拡張末期圧(RVEDP), 肺血管抵抗(PVR)などの血行動態指標と肺動脈弁輪部運動との関連性を検討した。【結果】全症例で肺動脈弁輪部運動は収縮期のs1', s2'および拡張期のe', a'が認められた。VSDではControlに比し、s1', s2', e' が有意に低値であった。s1', s2', e'はsPAC (r= 0.58, 0.62, 0.66; p<0.0001)およびdPAC(r= 0.60, 0.46, 0.55; p<0.001)と有意な相関が得られた。重回帰分析では、s1'はsPAC, dPAC, RVEDPによって規定(β=0.41, 0.34, -0.39)されていることが示された。s2'はsPAC (β=0.62)、e'はsPAC, RVSP, EVEDP(β=0.35, -0.28, 0.42)に影響を受けていた。【結語】肺動脈弁輪部運動速度は肺動脈コンプライアンスの非侵襲的評価に有用である。