The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

心臓血管機能2

一般口演1-10(III-OR110)
心臓血管機能2

Fri. Jul 8, 2016 9:35 AM - 10:25 AM 第D会場 (オーロラ イースト)

座長:
小川 潔(埼玉県立小児医療センター 循環器科)

III-OR110-01~III-OR110-05

9:35 AM - 10:25 AM

[III-OR110-04] 左心低形成症候群と右側相同心における三尖弁輪面積の時相変化と三尖弁逆流

粒良 昌弘, 新居 正基, 石垣 瑞彦, 佐藤 慶介, 芳本 潤, 金 成海, 満下 紀恵, 小野 安生 (静岡県立こども病院 循環器科)

Keywords:三尖弁逆流、左心低形成症候群、右側相同心

【背景】左心低形成症候群(HLHS)と右側相同心(RAI)において, 三尖弁逆流(TR)の合併は生命予後に大きな影響を与える。【目的】X-Plane tissue trackingを用いてHLHS・RAI群における三尖弁輪面積の時相変化を解析し, TRとの関連を調査する。【対象と方法】対象: HLHS・RAI 32例(HLHS 15例, RAI 17例, 年齢:3.0(0.1-18.1)歳)。方法: 機器:IE33/matrix probe。心尖部四腔断面における三尖弁輪のX-plane(四腔断面とこれに直交する断面)を記録。弁輪をtrackingし二方向の弁輪径を計測。弁輪を楕円と仮定し, 二方向の弁輪径から弁輪面積を算出。同方法により算出した正常小児群53例(年齢:8.7(6.7-12.2)歳)と比較。TRのgradeによりmild以下の軽度逆流群と, moderate以上の高度逆流群の2群に分類し, 弁輪面積変化とTRの関連を解析。【結果・考察】三尖弁輪面積変化を, 収縮期に減少する型(1型), 収縮期に増加する型(2型), 面積変化が少ない型(3型)の3種に分類。正常群, HLHS・RAI群において各型は, 正常群: 1型22例(42%), 2型24例(45%), 3型7例(13%), HLHS・RAI群: 1型8例(25%), 2型11例(34%), 3型13例(41%)であり, 正常群に対しHLHS・RAI群に3型を多く認めた(p<0.01)。TRによる分類では低度逆流群19例, 高度逆流群は13例で, 各型は低度逆流群: 1型8例(42%), 2型9例(47%), 3型3例(16%), 高度逆流群: 1型1例(8%), 2型2例(15%), 3型10例(77%)と, 高度逆流群で3型を多く認めた(p<0.01)。正常心では僧帽弁からのinteractionにより三尖弁輪の中隔-側壁方向径は収縮期に一貫して減少し, 前後径変化の差異により面積変化にvariationが生じる。これに対しHLHS・RAI群ではこのinteractionの欠如から三尖弁輪の面積変化が減少すると考えられる。また高度逆流群で3型が多いことは, 三尖弁輪の機能低下とTR重症度には密接な関係が有ることを示す。【結語】HLHS・RAI群では三尖弁輪機能が低下しており, 弁逆流を発生する一機序となっている。