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[III-OR121-05] チアノーゼ性心疾患術後の肝機能
キーワード:肝機能、フォンタン術後、インドシアニングリーン
【背景】肝疾患おいて、indocyanine green(ICG)を用いた検査、血漿消失率(K)、平均停滞率(R15)は、疾患の重症度判定や肝予備能のgold standardとして知られている。また、Fontan術後患者の肝障害について報告が散見されるが、ICGを用いた肝機能評価と血行動態との関連について検討された報告は少ない。【目的】チアノーゼ性心疾患術後患者の肝機能と血行動態との関連について検討する。【対象】2013年6月から2016年1月間に当科で心臓カテーテル検査を行ったチアノーゼ性心疾患術後の12歳以上の患者で、検査の同意が得られた64例(12歳~55歳; 中央値24歳)。Fontan術後:47例、二心室修復(BVR)術後:17例、男性36例、女性28例。【方法】カテーテル検査時に、ICG 0.5mg/kg(最大20mg)を静脈内へ投与。DDGアナライザ(DDG-3300)を用い、色素希釈法にてK、R15を測定。同時に測定した循環血液量(CBV)、心拍出量(CI)、平均循環時間(MTT)、及び、術式(Fontan/BVR)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、カテーテル検査結果(静脈圧(CVP)、肺血管抵抗(Rp)、体血管抵抗(Rs)、FickによるCI、体心室駆出率(EF))、脳性利尿ペプチド(BNP)、運動耐容能(peak.VO2)、肝機能にかかわる血液検査(血清総ビリルビン値、血清アルブミン値、コリンエステラーゼ、AST/ALT、γGTP、血清コレステロール、プロトロンビン時間)との関連について検討した。【結果】KはFontan術後患者で平均0.143±0.050、BVR術後患者で平均0.200±0.070(正常値≧0.195±0.037)、R15はFontan術後患者で平均7.6±4.8、BVR術後患者で平均12.7±8.5(正常値 <10%)。いずれもFontan術後患者で有意に肝障害が強かった(p<0.001, p<0.001)。血行動態との関連は、KはCVPと逆相関し(p<0.001)、R15 はCVPが高い例、BNPが高い例、peakVO2が低い例で高かった(p<0.001, p=0.006, p=0.001)。【まとめ】チアノーゼ性心疾患術後の血行動態が与える肝障害は、静脈圧との関連が強いことが示唆される。