08:45 〜 10:15
[III-PD03-01] 左心低形成症候群遠隔期成績向上に向けて
[目的] 左心低形成症候群(HLHS)の手術成績は最新の日本胸部外科学会annual reportでは病院死亡率20%と飛躍的な進歩を遂げている。一方5年、10年生存率は未だ50-70%に留まっている。それはNorwood, RV-PA shunt(Sano), Hybridの各手術に共通する問題点である。HLHS第1期手術、両方向性グレン手術、フォンタン手術時の段階的手術を通して、いかに良いフォンタン循環を作るかが遠隔期成績向上の鍵である。そのため手術術式の工夫、内科的管理の工夫など、各施設で総合的な取り組みが行われている。我々はSano手術の術式改良に取り組むと共に、high risk症例には両側PABによるrapid 2 stage手術を、 2001年より細胞治療を組み合わせた新たな治療体系に取り組んでいる。我々の取り組みを通して、その成果、また更なる問題点を検討したい。
[方法]1)手術方法の改良:Sano手術後、遠隔期成績を左右するのは、術後のre-CoA, re-PS, residual TRなどである。そのため大動脈再建にArch plasty,右室流出路再建にringed PTFE graft, Dunk techniqueなどを取り入れ、術式の改良を行った。また将来の成長などを考慮し、出来るだけ異物を使わない新大動脈再建を目指している。2)術後遠隔期の問題点である心機能低下を防止するため、2011年より幹細胞移植を、HLHSを含む単心室症41例に実施し、心機能改善を図った。
[結果]ringed PTFE graft変更により、PSは優位に減少。またre-CoAも減少した。41例の細胞治療群は最長5年のフォローアップで、これらの症例に遠隔死亡は無く、多くの症例で優位な心機能の改善が認められた。Normal risk 症例では5年生存率は90%に達する。
[考察、今後の課題] 様々な工夫により、HLHSの手術成績のみならず、遠隔期成績の向上が見られるようになった。今後は生存だけでなく、QOL向上を目指す治療戦略が求められる。またRiskのない症例では90%以上の遠隔期成績が得られるようになったが、high risk症例に対する対応は未だ十分とは言えず、今後更なる工夫が必要であろう。
[方法]1)手術方法の改良:Sano手術後、遠隔期成績を左右するのは、術後のre-CoA, re-PS, residual TRなどである。そのため大動脈再建にArch plasty,右室流出路再建にringed PTFE graft, Dunk techniqueなどを取り入れ、術式の改良を行った。また将来の成長などを考慮し、出来るだけ異物を使わない新大動脈再建を目指している。2)術後遠隔期の問題点である心機能低下を防止するため、2011年より幹細胞移植を、HLHSを含む単心室症41例に実施し、心機能改善を図った。
[結果]ringed PTFE graft変更により、PSは優位に減少。またre-CoAも減少した。41例の細胞治療群は最長5年のフォローアップで、これらの症例に遠隔死亡は無く、多くの症例で優位な心機能の改善が認められた。Normal risk 症例では5年生存率は90%に達する。
[考察、今後の課題] 様々な工夫により、HLHSの手術成績のみならず、遠隔期成績の向上が見られるようになった。今後は生存だけでなく、QOL向上を目指す治療戦略が求められる。またRiskのない症例では90%以上の遠隔期成績が得られるようになったが、high risk症例に対する対応は未だ十分とは言えず、今後更なる工夫が必要であろう。