10:20 〜 11:50
[III-S09-05] 先天性心疾患児への新生児期低酸素換気療法の遠隔期における知的発達への影響
【背景】高肺血流のため循環不全を呈する先天性心疾患の管理において窒素ガスを用いた低酸素換気療法の有用性が報告されているが、遠隔期の知的発達に対する報告はない。【目的】新生児期低酸素換気療療法の知的発達に与える影響について発達検査を用いて検討すること。【対象】遠隔期に発達検査を施行した先天性心疾患(CHD)で、新生児期の低酸素換気療法(HypoT)67例(H群)と同様の疾患群でHypoTを使用しなかった35例( N群)。【方法】H群とN群での各発達検査での精神年齢/生活年齢や発達・知能指数(新版K式発達検査、Bayley発達検査、WISC-III、IV)をカルテ記載から後方視的に調べ検討。【結果】新版K式検査(N群:18例(3.3歳)、H群:7例(3.5歳))でのDQ(全領域)はH群:中央値 74 vs N群: 59(NS)。Bayley(H群:18例(3. 0歳, N群:16例(1.1歳)での発達年齢/生活年齢はH群86 vs N群86.5(NS)。WISCIII+IV((H群:26例(6.1歳), N群:14例(7.3歳))でのIQ(全検査)はH群83 vs N群85(NS)。H群で窒素使用期間と知的発達の相関関係は、新版K式(R=0.21(NS)、Bayley:R=0.13(NS)、WISCIII+IV:R=0.20(NS))ともに有意な相関はなかった。左心低形成症候群とその他の疾患でも、新版K式のDQ(全領域)42.5 vs 69.5(NS)、Bayleyの発達年齢/生活年齢は77 vs 86(NS)、WISCIII+IVのIQは90 vs 82(NS)といずれも有意差はなかった。【結語】新生児期の低酸素換気療法は、CHD患者の知的発達に優位な影響を与えない。