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[III-TOR09-02] フォンタン術後患者とその家族への集団患者教育 ~フォンタンの会を実施して~
キーワード:患者家族支援、移行期支援、集団患者教育
【背景】フォンタン術後患者は様々な問題を抱えているため、A病院では平成24年度にフォンタン術後患者と家族を対象とした成人移行期支援外来を開設した。【目的】集団患者教育を目指したフォンタンの会を開催し、その効果を明らかにして移行期支援を充実させることを目的とした。【対象と方法】A病院外来治療中のフォンタン術後患者のうち、会に参加した4歳から17歳までの患児を持つ27家族を対象とした。集団教育の内容は、循環器科医師によるフォンタン循環、看護師による移行期支援外来、理学療法士による運動療法の説明、連携している成人領域循環器外来と医師、心臓病の子どもを守る会の紹介、患者家族同士の座談会などを行った。会の終了後に無記名方式でアンケートを行い検討した。以上は院内倫理審査委員会で承認を得た。【結果】参加した27家族のうち、22家族から回答を得た。94%の家族が会の内容を「良く理解できた・理解できた」と回答し、中でも移行期支援外来と成人領域循環器科の紹介が「良く理解できた」が86%と特に高かった。音楽に合わせた運動内容は「とても良かった」が50%であった。「今後、成人の病院へ移行できそうか」の問いには「行けそう」が50%、「どちらともいえない」が45%であった。自由回答では「医療のみでなく福祉や教育機関との連携が欲しい」、「沢山のお子さんが同じ手術を頑張ってきたことに勇気づけられた」などの回答があった。【考察】会の内容や移行期支援外来などへの理解は概ね良好であったが、成人病院への移行には不安もあることがうかがわれた。患者家族は福祉や教育機関との連携など多岐に渡るサポートの必要性を訴える一方、会自体がサポートとなっている声もあった。【結語】集団患者教育は、外来受診時や家庭内での説明だけでは困難な疾患についての理解を助ける場となった。今後は学校教員、ソーシャルワーカー、薬剤師、心理士等の参加を促し、会のさらなる充実と患者支援につなげていきたい。