The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ミニシンポジウム

ミニシンポジウム1(MIS01)
小児循環器領域におけるiPS細胞を用いた研究の現状

Thu. Jul 7, 2016 5:30 PM - 6:30 PM 第B会場 (天空 センター)

座長:
小垣 慈豊(大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学小児科学)
南沢 亨(東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座)

MIS01-01~MIS01-04

5:30 PM - 6:30 PM

[MIS01-03] iPS細胞疾患モデルを用いたガンマグロブリン不応川崎病の病態解明

池田 和幸1, 天久 朝廷2, 野宮 唯2, 中村 正裕2, 前 伸一2, 松井 敏2, 朽津 有紀1, 鈴木 千夏1, 岡本 亜希子1, 吉岡 綾子1, 八幡 倫代1, 渡辺 亮2, 沖田 圭介2, 曽根 正勝3, 長船 健二2, 濱岡 建城1 (1.京都府立医科大学大学院 医学研究科 小児循環器・腎臓学, 2.京都大学iPS細胞研究所, 3.京都大学大学院 医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学)

【目的】
 本研究では、iPS細胞技術を用いて、川崎病におけるガンマグロブリン静注療法(IVIG)不応の病態解明を目的とする。
【方法】
 川崎病患者IVIG反応例2例およびIVIG不応例2例から皮膚線維芽細胞あるいは末梢血T細胞を採取し、エピソーマルベクターを用いて初期化6因子を導入しiPS細胞を樹立した。樹立されたiPS細胞から血管内皮細胞(ECs)への分化誘導は既報のプロトコールを用いた。RNA-sequencing (RNA-seq)解析を用いて、誘導したECsの遺伝子発現解析を行った。
【結果】
 RNA-seq解析では、健常コントロールiPS細胞由来ECs 7例(健常コントロール群)、IVIG反応例由来ECs 2例(IVIG responder群)、IVIG不応例由来ECs 2例(IVIG non-responder群)を対象とし、健常コントロール群 対 IVIG non-responder群、IVIG responder群 対 IVIG non-responder群で比較検討を行った。
 Gene ontology(GO)解析では、白血球の動員や遊走に関連する受容体遺伝子がIVIG responder群に比較してIVIG non-responder群で有意に高発現であることが示された。Pathway解析では、IVIG non-responder群と有意に相関があるcytokine-cytokine receptor interaction pathwayにおいて同じ受容体遺伝子がup-regulateしていた。主成分分析(PCA解析)では、健常コントロール群、IVIG responder群、IVIG non-responder群とそれぞれ独立した分布を示しており、3群とも異なった遺伝子発現の特徴を有していた。GSEA解析では、過去のデータベースに登録されているIL-6関連遺伝子群がIVIG responder群に比較してIVIG non-responder群において高発現であることが示された。 
【結論】
 IVIG不応川崎病症例において、血清IL-6の高値は既に報告されていることから、ECsにおけるIL-6関連遺伝子群の発現の上昇は、IVIG不応の病態に関連している可能性が示唆された。また、IVIG不応の病態や川崎病の重症度に関連する可能性のある受容体遺伝子が同定された。 

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