The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ミニシンポジウム

ミニシンポジウム2(MIS02)
学校心臓検診ガイドラインの解説

Thu. Jul 7, 2016 10:20 AM - 11:20 AM 第D会場 (オーロラ イースト)

座長:
住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

MIS02-01~MIS02-04

10:20 AM - 11:20 AM

[MIS02-01] 『学校心臓検診のガイドライン』の解説:先天性心疾患の管理基準

堀米 仁志 (筑波大学医学医療系 小児内科)

2014~2015年度日本小児循環器学会・日本循環器学会合同研究班により、『学校心臓検診のガイドライン』が策定された。その各論のなかで、先天性心疾患は下記の3疾患領域に分けられ、それぞれ以下の1)-6)に沿って指針が記載されている。1) 疾患概念、2) 1次検診抽出基準、3) 2次以降の検診で必要な診察・検査項目、4) 管理指導区分決定のための取り扱い、5) 管理指導区分の条件と観察間隔、6) 文献。【疾患領域ごとの指針】1.左右短絡性心疾患:心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症、房室中隔欠損症が取り上げられているが、後3者が学校検診で初めて診断されることはまれである。治療前や肺高血圧を伴う場合を除けば運動制限はほとんど不要である。2.右左短絡性心疾患:代表的疾患としてFallot四徴症、完全大血管転位症が取り上げられている。両者とも術後例が対象となるため、術後遺残病変の評価項目や、その程度に応じた管理区分の目安が示されている。また、Fontan術後患者においては、適切な運動トレーニングであればリスクは高くなく、運動能力やQOLを高める効果を期待できることから、不必要な運動制限を行わず、個々に管理指針を決めることが重要である。チアノーゼ残存例の管理指針も示されている。3.弁疾患、大動脈縮窄症、Marfan症候群:日本小児循環器学会「先天性心疾患の学校生活管理指導指針ガイドライン(2012年改訂版)」に沿っている。大動脈弁、肺動脈弁、僧帽弁、三尖弁それぞれの狭窄・閉鎖不全のグレードに基づいた管理指針が示されている。大動脈縮窄についても同様である。以上の3領域に加えて、院外心停止の原因として重要な冠動脈起始異常の管理指針も記載された。【まとめ】複雑心奇形術後例の増加に伴い、先天性心疾患児の学校生活管理の重要性が増している。本ガイドラインに基づいた標準的な検診が普及し、学童のQOL向上と突然死の予防に役立つことが期待される。