The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ミニシンポジウム

ミニシンポジウム2(MIS02)
学校心臓検診ガイドラインの解説

Thu. Jul 7, 2016 10:20 AM - 11:20 AM 第D会場 (オーロラ イースト)

座長:
住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

MIS02-01~MIS02-04

10:20 AM - 11:20 AM

[MIS02-04] 日本の学校心臓検診の現状と問題点

住友 直方 (埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

【はじめに】学校心臓検診は、日本小児循環器学会、心電図判定委員会、学校検診委員会が方法の検討、判読基準、抽出基準、管理基準を定めるとともに、厚生労働省、文部科学省、学校保健会とともに法整備を行い、築き上げてきたシステムである。この成果により、学童の突然死予防など確実に成果が上がっている。
【学校心臓検診の目的】1)心疾患の発見や早期診断をすること、2)心疾患をもつ児童生徒に適切な治療を受けさせるように指示すること、3)心疾患児に日常生活の適切な指導を行い児童生徒のQOL を高め、生涯を通じてできるだけ健康な生活を送ることができるように児童生徒を援助すること、4)心臓突然死を予防すること、5)心臓検診を通して児童生徒に心疾患などに関する健康教育をすることなどである。このためには、1)正しい診断を基に管理指導区分を定め、2)医療や経過観察を必要とする症例を発見し、適切に治療や経過観察を受けるよう指導するなどが必要である。
【全国の学校心臓検診の現状】平成25年度日本学校保健会「学校生活における健康管理に関する調査」では現在1次検診で心電図を判読した医師は、小児科医が約3割、内科医が44%〜68%であった。またこの割合は地域により大きな差があることがわかった。また1次検診に用いる心電図は12誘導心電図60.1%、省略4誘導心電図36.0%であり、12誘導心電図を県内70%以上の学校で施行しているのは全体で22県、省略4誘導心電図を県内70%以上の学校で施行しているのは3府県であった。平成24年度の学校心臓検診において2次検査以降への要精検者の割合は全体で3.4%であったが、12誘導心電図施行が3割未満の地域では7割以上の地域と比較して有意に要精検の割合が高く、また要管理の割合も高い傾向にあった。
心臓検診判定委員会について都道府県教育委員会では52.3%は把握しておらず、また27.3%で心臓判定委員会は開催しておらず、他の委員会で代用していた。市区町村教育委員会も同様で、各々56.6%、30.3%であり、各学校に任されていることが多かった。
【学校生活管理指導表】学校心臓検診で異常(病気)が見つかった場合、またすでに診断、治療を受けている場合に、学校での生活管理の指標を示し、学校生活を適切に送ることができるよう学校に提示するものである。平成14年に「心臓病管理指導表」「腎臓病管理指導表」が「学校生活管理指導表」として一本化され平成20年、平成21年に学習指導要領が改訂されたため、平成23年に学校生活管理指導表が改訂された。学校生活管理指導表は心臓疾患の児童生徒では87.5%と多くの学校で使われていた。
【結語】今後学校心臓検診ガイドラインを用いて学校心臓検診全体の質を向上させること、検診システムからどのような疾患の突然死予防が可能となっているのか、さらに改善するためにはどのような基準が必要かなどを検討して行く必要がある。