第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常1

ポスターセッション(P03)
染色体異常・遺伝子異常1

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
糸井 利幸(京都府立医科大学 小児循環器・腎臓科 )

P03-01~P03-05

18:00 〜 19:00

[P03-02] マルファン症候群およびマルファン類縁疾患における大動脈拡大と内服薬の効果に関する検討

住友 直文1, 山田 浩之1, 宮田 功一1, 福島 直哉1, 横山 晶一郎1, 大木 寛生1, 澁谷 和彦1, 三浦 大1, 森川 和彦2, 前田 潤3, 山岸 敬幸3 (1.都立小児総合医療センター 循環器科, 2.都立小児総合医療センター 臨床試験科, 3.慶應義塾大学病院 小児科)

キーワード:マルファン症候群、バルサルバ洞、β遮断薬 ARB

【背景】マルファン症候群(MFS)では, 大動脈拡大(AAE)の進行を抑制する目的でβ遮断薬やARBが用いられる。成人MFS患者を主な対象とした欧米の前向き研究では, β遮断薬およびARBのAAE進行抑制効果が報告されているが, 小児MFSに対する同様の研究は少なく, 薬剤の有効性も定かではない。
【目的】小児MFSの大動脈拡大の経過および内服薬の影響について検討する。
【方法】18歳以下のMFS/MFS類縁疾患(疑い例を含む)の患者を対象に, 2010年1月から2015年12月までに実施した心臓超音波検査のバルサルバ洞径(SV)の変化, 内服薬の有無・種類, 手術の有無などにつき, 後方視的に調査した。
【結果】患者数は31人(男18、女13), 年齢2-18歳, 診断はMFS 25例・ロイスディーツ症候群4例・結合織疾患2例, β遮断薬・ARB内服群12例・非内服群19例であった。大動脈手術例は3例に行い, 大動脈解離・破裂・死亡例はなかった。
内服群では、非内服群に比べ直近4年間のSVが有意に大きかったが(初回検査時のZスコア:内服群 vs. 非内服群, 3.4±1.6 vs. 2.0±1.0, p = 0.01, 最終検査時のZスコア:3.9±2.2 vs. 2.1±0.9, p = 0.03), 内服群・非内服群のいずれも調査期間中にSV拡大の有意な進行はなく, それぞれの大動脈拡大率にも有意差はみられなかった(内服群 vs. 非内服群 +0.05 SD/年 vs. -0.01 SD/年)。大動脈手術を実施された3例はすべて男児かつ服薬症例であった。
【考察】AAEの程度が強い症例に対してβ遮断薬・ARBが投与され, 非内服群では大動脈手術例はなかった。今回の検討では内服によるAAE進行の抑制効果は不明で, 小児に対する適応については今後の研究が必要である。