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[P03-04] 新生児期から厳重管理していたにも関わらず、下行大動脈解離、肋間動脈瘤切迫破裂を続けて発症したLoeys Dietz症候群の1例
キーワード:Loeys Dietz症候群、大動脈解離、肋間動脈瘤
【背景】Loeys Dietz症候群(LDS)はMarfan症候群の類縁疾患で、約25%は常染色体優性遺伝により発症し、典型的な症状を認める患者の約95%にTGFBR1または2の遺伝子変異が認められる。大動脈解離、動脈瘤などの血管病変による若年死亡に注意が必要である。今回、新生児期から厳重管理し、大動脈基部のエコー所見が安定していたにもかかわらず、下行大動脈解離、肋間動脈瘤切迫破裂を続けて発症したLDSの1例を経験した。【症例】18歳女児。祖母、母、叔父は解離性動脈瘤破裂で若年死亡しており、Marfan症候群と診断されていた。母が本児出産後に解離性大動脈瘤破裂により死亡し、本児も反張膝、くも状指を認めたため新生児期より精査し、大動脈基部の拡張、幼児期には下行大動脈蛇行、その後腎動脈や腹腔動脈の拡張を認め、Marfan症候群重症型としてフォローしていた。経過中、TGFBR2の遺伝子変異が同定されてLDSの診断に至った。9歳時よりプロプラノロール塩酸塩の予防投与を、10歳時よりアテノロールとロサルタンカリウム併用で運動制限をしながら慎重に経過観察をしていたが、大動脈基部の径はエコー上安定していた。17歳時に、蛇行し35mmに拡大していた下行大動脈に限局解離を合併して計48mmに拡大したため、人工血管置換術が施行された。術後安定していたが、5か月後に肋間動脈瘤切迫破裂の所見を認めた。コイル塞栓術や手術が困難であり、降圧治療と厳重な安静により2週間で血栓化を認めた。その後、18歳時に大動脈基部の拡大に対して自己弁温存型大動脈基部置換術(David術)が施行された。【考察】LDSではMarfan症候群より血管径が小さくても解離しやすく、部位は大動脈基部に限定されない。Marfan症候群で用いられるロサルタン内服を含め、厳重な内服管理をしたが、下行大動脈解離、肋間動脈瘤切迫破裂を起こしており、LDSにおいては大動脈分枝の病変に対するものを含めた管理・治療法の確立が必要である。