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[P03-05] Loeys-Dietz症候群の各種亜型および臨床像の検討
Keywords:Loeys-Dietz、Marfan、遺伝子
【背景】Loeys-Dietz症候群(LDS)はマルファン症候群(MFS)の類縁疾患の一つであり、確定診断は遺伝子検査に依存する。両者に共通する臨床症状が多く鑑別診断は困難である場合が多いが、LDS は MFS よりも高率・早期に大血管イベントを発症し、小児期死亡も多数報告されている。特にLDSの大動脈基部拡張(AAE)に対してはより早期の外科的介入が推奨されることから、両者を鑑別する意義は大きい。【目的】LDSに特徴的な臨床所見やMFSとの相違点を検討する。【方法】対象は当院マルファン外来を20歳未満時に初診した患者のうちLDSと診断された4家系・6例。大血管病変やLDSに特徴的な身体所見に関して、既存の知見と比較しつつ後方視的に検討したほか、MFS患者との比較検討を行った。【結果】6例とも家族歴や身体的特徴からMFS疑いとして当外来を紹介初診し、遺伝子検査により確定診断に至った。2家系/4例にTGFBR2変異(LDS2)、1例にTGFBR1変異(LDS1)、1例にTGFB2のde novo変異(LDS4)が同定された。LDS1/2の3家系/5例は、いずれも大動脈解離や突然死の家族歴を有し、また初診時に著明なAAEを認め(Valsalva Z score 3.26-5.99)、可及的早期にLosartan内服治療が開始された。対照的にLDS4症例はAAEを呈さなかった。LDS1/2と診断された5例の初診時Valsalva洞直径のZ scoreの平均値はMFS群(91例)より高い傾向が見られた(4.53±1.14 vs 3.22±2.18, p=0.186)。LDSに特徴的とされる身体所見に関して、LDS1/2の4例が二分口蓋垂を有しておりLDSを考慮する契機となりえた。水晶体偏位を有さない点はLDSの6例に共通したが、MFS 93例中60例も同様に水晶体偏位を有さなかった。【結語】本検討でLDS1/2例は重度のAAEや大血管イベント/突然死の濃厚な家族歴を有しており、二分口蓋垂等の身体所見が診断の一助となることが示唆された。Marfanoidに対する遺伝子検査は、特に適切なAAE治療選択のために重要な意味を持つ。