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[P04-01] 総動脈幹症に常染色体劣性多発性のう胞腎を合併した1例
キーワード:総動脈幹症、常染色体劣性多発性のう胞腎、肝機能異常
【背景】総動脈幹症2型(PTA2)の診断で出生し血流転換術試行されたが、術後より肝不全と腎不全が進行し常染色体劣性多発性のう胞腎(ARPKD)と診断した一例を経験したので報告する。【症例】37週5日2754gで出生した。PTA2、大動脈離断B型、心室中隔欠損症と診断した。日齢6にbilateral PA banding、月齢2にArch repair, trancal valve plasty+PDA division, p-RVOTR, PA plasty、月齢3にre-truncal valve reconstruction施行された。術後V-A ECMO使用したが、回転数を上げないと循環動態維持できなかった。術後7日目にECMO離脱できたが、術前より目立ってきた黄疸が悪化し、肝障害・腎障害が進行してきた。月齢5に撮影された腹部CTで両側腎腫大を認め超音波検査で精査したところ両側腎の輝度が上昇し皮髄境界が不明瞭であった。血中の肝線維マーカー上昇を認め、これらの所見からARPKDと臨床診断した。腎障害が進行し腹膜透析を開始したが、進行性に腹部膨満が進行し十分な透析効率を得ることが困難であった。肝障害も進行し高アンモニア血症や脾機能亢進も合併した。対症療法継続していたが全身状態が悪化し月齢6に死亡した。【考察】術後進行を認めた黄疸はECMO使用による溶血が原因と考え早期の離脱を図ったが、実際は術前より緩徐な進行を認めていたことと、循環維持するために異常な回転数を必要としたことから他疾患の合併を考えた。腎機能障害あるいは門脈体循環シャントなどの腹部疾患の関連を疑い精査を続け、ARPKDの診断に至った。ARPKDの診断には超音波検査が有用であるが、腎腫大認めていたものの当初は特徴的な所見は認めていなかった。今回の症例では補助循環管理における記録が他疾患の合併を疑うきっかけとなった。【結語】PTA及びARPKDは共に稀な疾患であるが、今回両者を合併した症例を経験した。補助循環管理など様々な場面で通常と異なる経過を辿る場合は、他疾患の合併を考慮するべきである。