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[P04-05] 肺動脈絞扼術後に左室心筋肥厚をきたした18トリソミーの2例
Keywords:心筋肥厚、肺動脈絞扼術、18トリソミー
[背景] 当院では肺血流増加性心疾患を合併する18トリソミーで、家族が治療介入を希望された場合、生後2ヶ月までに肺動脈絞扼術(PAB)を施行している。これまでに27例のPABを施行したが、その中でPAB後に左室心筋肥厚を認めた症例を2例経験したので報告する。[症例1]女児、心室中隔欠損(動脈管は日齢15に閉鎖)。肥厚性幽門狭窄症あり日齢41にラムステッド手術施行。日齢63(BW 1975g)、PAB施行。術後17日より心嚢水貯留のためアスピリン内服するが無効で、術後20日よりPSL投与。PSL開始後より心嚢水は減少、消失したが、全周性・対称性の左室心筋肥厚が出現し、次第に増悪。術後30日には左室流出路狭窄、僧帽弁閉鎖不全も認めるようになり、PSL中止しpropranolol投与開始。その後心筋肥厚は徐々に改善し、術後2ヶ月よりpropranolol漸減し、術後3ヶ月で中止した。その後心筋肥厚の再発なし。[症例2]女児、心室中隔欠損、動脈管開存、部分肺静脈還流異常。日齢43(BW 1820g)、PAB、PDA ligation施行。術後8日目に左室心筋肥厚が著明となり、propranolol投与開始。現在内服開始1ヶ月経過したが、徐々に改善傾向にある。[考察]PAB後長期にわたる経過で右室圧上昇による右室心筋肥厚は経験するが、術後早期に左室心筋肥厚をきたし比較的短期間で軽快する報告は、検索しえた限りではなかった。症例1ではPSLが原因、または助長した可能性はあるが、症例2では原因薬剤の使用はない。まれな症例として、本症例の病態や治療について考察し、報告する。