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[P05-05] 胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的抗不整脈薬投与に関する臨床試験-副作用報告(第2報)-
Keywords:胎児頻脈、胎児治療、副作用
【背景】胎児頻脈性不整脈治療における副作用に注目した報告は殆どない。【目的】現在進行中の「胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的抗不整脈薬投与に関する臨床試験」で集積された副作用を報告する。【方法】2010年10月~2015年10月までに集積された38例を対象として、母体・胎児・新生児への副作用について検討した。研究協力施設より報告された有害事象のうち、安全性評価委員会による審議の結果、薬剤との因果関係が確定的もしくは否定できなかったものを副作用とした。【結果】使用薬剤はジゴキシン単剤22例、ソタロール単剤3例、ジゴキシン+ソタロール併用11例、ジゴキシン+フレカイニド併用2例で、投与期間は中央値6週(1-13週)であった。母体の副作用は28例(74%)で出現しており、嘔気・嘔吐21例(55%)、軽度徐脈10例(26%)、2度房室ブロック9例(24%)、1度房室ブロック2例(5%)、頭痛2例(5%)、QTc延長、眠気、手指のしびれが各1例(3%)であった。ジゴキシン+ソタロール併用例では、ジゴキシン単剤と比し副作用出現率は約2倍に増加した。胎児の副作用は10例(26%)で出現しており、軽度の徐脈6例(16%)、遅発一過性徐脈2例(5%)、1度房室ブロック、発作性心房細動が各1例(3%)であった。ジゴキシン+ソタロール併用のうち、1例で高度房室ブロックのため早期娩出、2例で胎児死亡となった。ジゴキシン+フレカイニド併用では副作用は認めなかった。新生児の副作用はジゴキシン+ソタロール併用の1例(3%)のみで、軽度徐脈を呈した。胎盤移行率はジゴキシン53%(29-83%)、ソタロール77%(48-120%)、フレカイニド71%(61-81%)であった。【結論】ジゴキシン+ソタロール併用例において、母体の副作用が高率に認められ、特に胎児の副作用の中には重篤なものもあるため、産科、新生児科および循環器内科が完備された施設で慎重な管理を要すると考えられた。