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[P06-01] 母体抗SS-A抗体による先天性完全房室ブロックに致死的新生児遷延性肺高血圧症を併発、肺動脈壁の線維性肥厚を認めた1剖検例
キーワード:先天性完全房室ブロック、母体抗SS-A抗体、剖検症例
【はじめに】先天性心疾患を伴わない先天性完全房室ブロック(CCAVB)は母体抗SS-A抗体によるものが多い。母体抗SS-A抗体は胎児の心筋、刺激伝導系、房室弁を傷害する事が知られている。今回、我々は母体抗SS-A抗体によるCCAVB患児に胎児治療と出生直後からペーシング治療を行ったが、重症PPHNを併発し、日齢17に死亡、剖検で肺動脈壁に線維性肥厚を認めた症例を経験したので報告する。【症例】父30歳。母34歳、Basedow病、GDM、初妊、自然妊娠成立。在胎19週、胎児徐脈のため、前医大学病院を紹介受診.母体抗SS-A抗体陽性によるCCAVBと診断され、入院、リトドリン点滴・デキサメサゾン内服開始。インスリン療法を含む厳重なGDM管理も同時に開始された。胎生27週、胎児心拍50台、心嚢液増加傾向にあり、周産期管理目的で当院へ紹介入院。在胎36週2日、胎児胸腹水も認め、緊急帝王切開で出生。SGA(出生体重1644g)、羊水過少と胎児治療の副作用を認めた。出生直後HR30台で、イソプロテレノロール、気管内挿管・人工呼吸器管理を行ったところHR50-60台になったが、そのまますぐにペーシングリード留置術を施行してからNICU搬入。経過中、ペーシングトラブルはなく、左室機能の悪化はなく、利尿などの循環状態は次第に改善していたが、肺血管抵抗が高い状態(動脈管両方向短絡・推定右室圧60mmHg)が継続し、HFO、NO、完全鎮静、PGE1、DoAなどの集中管理を施行するも反応なかった。低酸素血症の持続、最終的には循環不全も来たし、日齢17に死亡。剖検で心臓・肺などの各臓器を検索したところ、末梢肺動脈壁に線維性肥厚を認めた。【結語】母体抗SS-A抗体によるCCAVBに致死的なPPHNを併発した症例を経験した。重症PPHNが母体抗SS-A抗体に関連したものか偶発したものかははっきりしなかった。