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[P06-02] 胎児心精査において見逃した下心臓型総肺静脈還流異常2例についての検討
キーワード:胎児診断、胎児心エコー、誤診
【背景】総肺静脈還流異常(TAPVC)は出生直後に手術介入を要することも多く胎児診断の求められる疾患であるが、近年でも胎児診断率は非常に低い。当院では2007年1月-2015年12月に1219例の胎児心精査を行なったが、この中で2例の下心臓型TAPVCの見逃しがあった。【目的】当院での胎児心精査におけるTAPVC見逃し例について、その原因を精査し、対策を検討すること。【症例】症例1:在胎38週で胎児不整脈のために当院へ紹介となり胎児心精査にて心房性期外収縮と診断され前医で管理された。出生当日にチアノーゼを認め当院へ搬送されTAPVCと診断、日齢1に修復術が施行された。症例2:在胎36週に胎児発育不全のために当院へ紹介となり2回の胎児心精査の結果、大動脈縮窄・左室低形成と診断され当院で管理された。出生当日の心エコーでTAPVCの合併が診断され同日他院へ転院した。【方法】上記2症例について、記録された胎児心エコー画像を後方視的に検討した。【結果】胎児心精査では共に肺静脈(PV)は少なくとも1本は左房(LA)へ還流していると診断されていた。しかし、記録された画像ではLA背側を横走するPVをLAへ還流すると誤認していた。いずれもカラードプラもしくはパワードプラ画像とBモード画像を並べて表示し観察されていたが、Bモード画像が不鮮明に思われた。また2例ともPVの血流波形が記録されていたが正常の血流波形とは異なっていた。post-LA space index(PLSI)は2症例とも<1と計測できる四腔断面像が記録されていたが、不正確な四腔断面と考えられた。【考察】共に予定日近くに初診となったため十分な画像が得られなかった面もあるが、胎児心精査での見逃しを防ぐためには正常のPV血流波形の確認と鮮明なBモード画像での確認を行う必要があり、B modeでの左房へのはっきりした流入形態がなければTAPVCを疑って詳細に検索すべきと考えられた。また、PLSIの計測には正確な四腔断面を描出するよう注意が必要である。