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[P06-04] blocked PACと誤診したAV blockの1例
Keywords:fetal diagnosis、cAVB、blocked PAC
【はじめに】胎児徐脈の診断では、房室ブロックやblocked PAC、QT延長症候群等を鑑別する必要がある。房室伝導の有無に加え、心房収縮の不整の有無が診断の一助となる。胎児心磁図が限られた施設でしか施行できない現状では、心エコーのドプラーやMモードを用いることが一般的であるが、胎動や体位の条件によっては、詳細な評価が困難なことも多い。今回、当初はblocked PACと診断したが、後のフォローにて房室ブロックと診断を修正した症例を経験したので、反省を交え報告する。【症例】症例は、在胎31週6日、胎児徐脈の精査目的に紹介された。心エコーでのドプラーSVC-Ao法を主に用いた。心房収縮は133回/分、心室収縮は65回/分であった。心房収縮が不整であること、房室伝導有りと判断したこと、時に心室収縮が165回/分と一過性に徐脈の改善を認めたことより、blocked PACと診断した。在胎33週5日の時点では、終始心室収縮は60回/分前後であったが、依然心房収縮が不整であり、診断に苦慮した。在胎35週4日の時点で、心室収縮は58回/分、心房収縮は128/分となり、房室解離所見より完全房室ブロックと診断し得た。心構造異常は認めず、経過中心拡大や心収縮の低下は認めなかった。【考察】本例では当初、心房収縮と心室収縮が2:1に近い回数であり、SVC-Ao法でのSVCの順行性S波やD波の形が心室収縮とのタイミングにより1拍毎に変形したことで、心房収縮のタイミングの判断に難渋した。振り返って検討した結果、SVC-Ao方法においては、房室伝導時間を厳密に評価し、わずかな差から房室伝導の有無を確認することが、最も診断に有効であった。【結論】胎児不整脈の診断では、様々な計測アプローチを用いること、繰り返し評価することが必要であると痛感した。