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[P07-01] 胎児診断された左上大静脈遺残(LSVC)症例の周産期経過
キーワード:胎児心臓病、左上大静脈、大動脈縮搾症
【背景】胎児心エコースクリーニングが普及し、他の主要な心内構造異常を伴わない左上大静脈遺残(LSVC)が紹介されるようになってきた。胎児のLSVCでは小さい左心系や大動脈縮搾症との関連の報告も認められる。しかし、これらの胎児症例の周産期管理方法については定まったものがない。【目的】胎児のLSVC症例の周産期経過、特に小さい左心系に伴う疾患との関連を明らかにすること。【方法】当院単施設の後方視的調査。2013年から2015年3年間の胎児心エコー記録より23例のLSVC症例を抽出。主要心奇形合併11例を除外した12例を対象とした。胎児期や周産期、新生児期の経過として、胎児心エコー紹介の時期、理由、小さい左心系特に細い大動脈狭部の有無、基礎疾患、出生後経過について検討した。【結果】紹介週数は19週4日から35週3日(中央値32週4日)。紹介は2013年3例、2014年2例から2015年7例(LSVC自体による紹介が4例)と急増した。小さな左心系を6/12例に認めたが、出生後に大動脈縮搾症の発症はなかった。ただし早産で新生児期循環管理に苦慮した1例が、小さな左心室の影響が考えられた。左心系が小さい6例中4例がSGAで、他の1例は21トリソミー合併例であり、左心系の小ささは他の基礎疾患の存在と関連していた。また、右SVC欠損のLSVC2例は、冠静脈洞の拡大はより著明であったが、いずれも左心系の大きさは正常であり、LSVC自体は左心系形成の障壁には成っていなかった。出生後は、8例が新生児室での管理を要し、3例が早産、2例が低出生体重、他の3例は合併奇形によるものであった。【結語】LSVCはSGAや他の合併奇形との関連が強く、特にSGA症例で左心系も小さく、出生後の循環障害の可能性もあり、周産期管理に注意を要すると考えられた。一方、LSVCのみでは左心系は小さくならないことも示唆され、大動脈縮搾症発症との直接の関連は否定的と考えられた。