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[P07-03] 胎児心エコーでのthree vessel trachea viewの血流評価の重要性とピットホール
Keywords:胎児エコー、three vessel trachea view、brain sparing effect
(背景・目的)胎児心エコーでのthree vessel trachea view(3VTV)は、大動脈弓と動脈管弓で形成されるV字を確認するスクリーニングの基本断面であり、血管径のバランスと血流方向を確認することが重要である。今回、大血管径のアンバランスがないにもかかわらず大動脈の逆行性血流を見た4症例の比較から、鑑別の際のピットホールを報告する。(症例) 症例1. 収縮期に逆行性血流を認めた。左室大動脈の血流を認めないこと、大動脈の開放がないことから大動脈弁閉鎖と診断した。 症例2. 連続性に逆行性血流を認めた。左室は菲薄化し球状に拡大していた。左室大動脈の順光性血流をわずかに認め、大動脈弁逆流を認めた。大動脈弁狭窄及び逆流と診断した。 症例3. 拡張期に逆行性血流を認めたが、明らかな心疾患は認めなかった。38週1500gと子宮内発育不全(IUGR)を認め、臍帯動脈(UA)の拡張期血流は減少し、血管抵抗を示すUARIは0.77と上昇を認めた。一方中大脳動脈(MCA)RIは0.73と低下し、通常UARI<MCARIであるのに対し、逆転を認め、胎盤機能不全によるbrain sparing effect(BSE)を認めた。 症例4. 連続性の逆行性血流を認めた。症例3と同様に明らかな心疾患は認めなかった。37週1400gとIUGRを認め、UAの拡張期血流の途絶を認め、胎盤機能不全とBSEが示唆された。 (考察) 胎児心エコーで3VTVの大動脈の逆行性血流を見た場合、収縮期血流なら左心低形成類縁疾患が、拡張期血流では大動脈弁逆流が鑑別となる。しかし、胎盤機能不全によるBSEにより逆行性血流をきたすことがある。大動脈の逆行性血流を見た場合、心疾患の検索だけでなく臍帯動脈血流など心臓以外の胎児のおかれた環境を評価することが重要である