第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

胎児心臓病学3

ポスターセッション(P07)
胎児心臓病学3

2016年7月8日(金) 13:50 〜 14:40 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
菱谷 隆(埼玉県立小児医療センター 循環器科)

P07-01~P07-06

13:50 〜 14:40

[P07-04] 胎児診断で単純大動脈縮窄が疑われた16例の検討

田中 智彦, 稲村 昇, 杉辺 英世, 江見 美彬, 松尾 久実代, 平野 恭悠, 青木 寿明, 河津 由紀子, 萱谷 太 (大阪府立母子保健総合医療センター 小児循環器科)

キーワード:大動脈縮窄症、胎児心エコー、3VV

【背景】単純大動脈縮窄(simple CoA)は重症例で新生児早期にshockを来す疾患であり胎児診断の重要性は高い。しかし、縮窄部の詳細な描出が困難な場合、診断に苦慮することも多く疑陽性症例もしばしば経験する。【目的】出生後治療を要するsimple CoAを予測する簡便な胎児指標を求めること。【対象と方法】対象は2012年から2015年に心室中隔欠損を合併しないsimple CoAが疑われた胎児診断16例。出生後治療を要した6例(Surgery群:S群)と要さなかった10例(None群:N群)に分類した。S群は全例で最終的に外科手術を要した。16例で3VVから大動脈(AO)、肺動脈(PA)の直径を計測しAO、PAのZ-score、AO/PAを算出した。4CVから左室横径(LVd)、右室横径(RVd)を求めて、Z-score、LVd/RVdを算出した。更に大動脈弁輪径(AVD)、肺動脈弁輪径(PVD)、僧帽弁輪径(MVD)、三尖弁輪径(TVD)を求め、Z-score、AVD/PVD、MVD/TVDを算出した。Z-scoreの算出には大腿骨長(FL)を使用した。各指標を両群間で単変量解析を行い、有意差の出た指標に関してROC曲線を求め、多変量解析を実施した。【結果】S群ではAO:-2.0±0.8,PA:0.7±0.4,AO/PA:0.6±0.04,LVd:-1.7±0.3,RVd:-0.28±0.9,LVd/RVd:0.8±0.09,AVD:-2.1±0.7,PVD:1.3±0.8,MVD:-2.3±1.1,TVD:-0.23±1.0, AVD/PVD:0.56±0.06,MVD/TVD:0.74±0.10。N群はAO:-0.45±1.1,PA:0.35±0.8,AO/PA:0.76±0.06,LVd:-1.7±0.6,RVd:-0.37±1.7,LVd/RVd:0.76±0.08,AVD:0.38±1.0,PVD:1.1±1.2,MVD:-1.7±1.3,TVD:0.02±0.8,AVD/PVD:0.74±0.08,MVD/TVD:0.75±0.11。2群間の比較でAO,AO/PA,AVD,AVD/PVDの4項目で有意差を認めた(p<0.05)。ROC曲線で求めた診断のカットオフ値はAO<-1.2、AO/PA<0.66、AVD<-0.8、AO/PV<0.65であった。また、多変量解析ではAO/PAとAVD Z-scoreで有意差を認めた。【結論】simple CoAが疑われる胎児症例ではAO/PAとAVD Z-scoreの測定が出生後の経過予測に有用と考えられた。