第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

胎児心臓病学4

ポスターセッション(P08)
胎児心臓病学4

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
竹田津 未生(旭川厚生病院 小児科)

P08-01~P08-05

18:00 〜 19:00

[P08-01] 胎児診断のピットホール~染色体異常や多発奇形など児の予後を予測するものをいかに診断するか~

宗内 淳, 長友 雄作, 渡辺 まみ江, 白水 優光, 城尾 邦隆 (九州病院 小児科)

キーワード:胎児診断、染色体異常、トリソミー

【目的】胎児診断の精度向上は心疾患合併児の予後改善に寄与する。先天性心疾患の救命率向上から、出生前説明は「治療により十分な救命が期待できる」とされる一方で、その背景に染色体異常等がある場合、家族の不安は、心疾患そのものよりもその個体の個性に比重が向けられ、私たち循環器医が行う出生前診断としての説明は陳腐なものとなりかねない。自験例から出生前診断の抱える問題点を考察する。【対象】胎児心疾患疑い93例中、正常・不整脈例を除く72例を対象とした。【結果】中絶4例(Ebstein2例、無脾症PVO1例、TA1例)、子宮内死亡4例(trisomy18合併心疾患2例、Critical AS1例、Ebstein1例)、出生早期死亡4例(PV閉鎖2例、TAPVC合併HLHS1例、DORV突然死1例、肺リンパ管拡張症1例)であった。生存59例において、出生前に染色体異常の可能性を指摘されたものは7例(全てtrisomy18)で、1例を除き生後診断trisomy18であった。生後にtrisomy18診断例はなかった。その合併心疾患はVSD2例、DORV1例、MS+DORV1例、VSD+IAA1例、VSD+COA1例(待機)であった。一方、trisomy21は出生前診断例はなく、生後初めて診断されたtrisomy21は5例であり、合併心疾患はTR2例、PA1例、VSD1例、AVSD1例であった。Trisomy18は指重なり・肢位・IUGRから推定に至るが、trisomy21は積極的にNT所見等を観察しないと診断されにくかった。染色体不均衡転座1例(DORV)は出生前診断があったが、左半身低形成例(TOF)1例と胸骨裂合併(TOF+PA)1例はいずれも発達障害があったものの、出生前診断として指摘はなかった。また心臓腫瘍1例では結節性硬化症に関する言及はなかった。COA疑いで紹介された女児例においてTurner症候群であること言及すべきか迷った。【考察】Trisomy18の高率な出生前診断と比べ他の染色体異常等の出生前診断率は低く、生前説明は心疾患にとどまった。心疾患の系統的診断から症候群を類推することが必要である。