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[P09-05] 左心低形成症候群の治療経過と予後~さらなる予後改善への課題は?
キーワード:左心低形成症候群、modified Norwood(Sano)術、右室型単心室
【目的】左心低形成症候群(HLHS)症例の治療経過と予後について検討、またそれ以外の右室型単心室症例と比較することでHLHSの治療における問題点など現状を把握する。【方法】1998年から2015年までに当院でフォローしたHLHS(HLHS群)とそれ以外の右室型単心室(RV群)を診療録を元に後方視的に比較検討した。【結果】HLHS群は46症例(classical 33例、variant 13例)、9例は染色体異常であった。新生児期早期死亡した5例を除く41例中36例でmodified Norwood(Sano)術が新生児期に行われていた。22例がTCPCまで到達(extracardiac 11例、lateral tunnel 11例)した。予後は生存21例、死亡14例、転院11例であった。一方、RV群は34症例、2例は染色体異常であった。23例がTCPCまで到達(全例extracardiac)した。予後は生存25例、死亡6例、転院3例であった。HLHS群とRV群の中でTCPCまで到達した症例の術後合併症(死亡、チアノーゼ、浮腫、不整脈、心機能、肺血管抵抗、血栓症、肝機能異常、蛋白漏出性胃腸症、鋳型気管支炎、房室弁逆流、脳膿瘍、側副血管、血管狭窄)、治療介入(薬物治療、在宅酸素、fenestration造設、coil塞栓術、バルーン拡張術、stent留置)を比較検討した。TCPC術後の観察期間はHLHS群で中央値10年(2-16年)、RV群で8年(1-15年)であった。HLHS群で死亡例が多く(22.7%; 0%, p=0.021)、SpO2値が低く(中央値92%; 94%, p=0.016)、左肺動脈狭窄が多かった(60%; 23%, p=0.043)。ACE阻害剤の導入はHLHS群で多かった(67%; 26%, p=0.024)。多変量解析では左肺動脈狭窄(p=0.034)に有意差を認めた。【結論】当院では新生児期modified Norwood術を施行している症例が多く、57.9%がTCPCまで到達していた。生存率は60%であった。HLHS群とRV群の比較ではTCPC術後死亡が有意にHLHS群で多く、原因として左肺動脈狭窄の関与が考えられた。今回は限られた症例での検討であり、さらなる症例の蓄積が必要である。