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[P11-01] 左心低形成症候群に対する両側肺動脈絞扼術についての検討
キーワード:左心低形成症候群、FABPAB、新生児
【背景】新生児における左心低形成症候群(HLHS)に対するNorwood手術(NW)はハイリスクである。当院においては、脳循環の確保や心機能の維持をするためNWに先行して新生児期に全例で体外循環を使用せず両側肺動脈絞扼術(BPAB)を施行している。その中でBPABの体重増加に伴い、低酸素血症が出現する症例に対して絞扼術部に経皮血管形成術を追加し、低酸素血症の改善や肺動脈の成長を促すことを目的としたFlow adjustable bilrateral pulmonary artery banding (FABPAB)を採用しており、FABPAB群と非FABPAB群の経過を比較・検討した。【対象・方法】2008年4月から2015年4月までに当院で出生したHLHS9例を対象とした。合併心血管奇形として、三尖弁逆流(TR):2例、両側上大静脈:2例、PAPVC:1例、VSD:1例、AVSD:1例、左冠動脈欠損・心室冠動脈結合症(Ventricular coronary connection:VCC):1例であった。動脈管の維持は全例でPGE1の持続投与を行った。BPAB施行時の日齢は平均6.0日(2~18日)、体重は平均2.8.kg(2.4~3.6kg)であった。【結果】非FABPAB群は5例でそのうち、1例はSevere TRの為、NW後に死亡した。2例はNW後に肺血管の発育は不良で、mBTシャント術を追加で施行し、Bidirection Glenn(BDG)への到達は2例で、Fontan手術への到達は2例であった。FAPBAP群は4で、そのうち1例は左冠動脈欠損・VCCの為Norwood術後に死亡し、1例はSevere TRのためNorwood+BDG術後に死亡した。残りの2例は追加手術なしでBDGへ到達した。【結語】非FABPAB群に対してFABPAB群は良好な末梢肺動脈の発育が認められ、NWやBDG時に有利に働くと考えられた。しかし、左冠動脈欠損・VCCやSevere TR症例においては肺動脈の発育は有効とならない為、手術介入するには更なる検討が必要と考えられる。