18:00 〜 19:00
[P11-05] 一心室修復(UVR)が困難と思われたborderline left ventricleのHypoplastic Left Heart Complex(HLHC)に対し二心室修復(BVR)を行った症例の左室容量の推移
キーワード:HLHC、BVR、左室容量
【背景】HLHCでは新生児期のBVRがUVRより優れているとされ、BVRできるかどうかの適応には僧帽弁(M弁)、大動脈弁(A弁)の大きさが重要とされている。術前BVRかUVRか判断が難しかった症例でBVRを行い、術後の心室容量の変化を検討した。【症例】出生後M弁6.9mm(z-score -2.49)、A弁5.6mm(z-score -2.17)、LVEDV5.73ml(25.7% of N)と左心系の低形成を認めHLHCと診断した。BVRは困難と判断し、bil.PABにて経過観察した。生後2か月で、M弁6.8mm(z-score -2.57)、A弁6.0mm(z-score -1.62)、LVEDV7.37ml(28.3ml/m2, 33.4% of N) と左心系の発育は認められず、Norwood+ASD拡大の方針とした。術中PDAを試験閉鎖したところ、体血圧が60~70mmHg、右室圧54mmHg、左房圧6mmHg、CVP6mmHgであり、BVR可能と判断し大動脈縮窄修復、心室中隔欠損閉鎖、心房中隔欠損閉鎖を行った。生後4か月(術後2か月)でM弁8.5mm(z-score -2.09)、A弁5.9mm(z-score -2.98)、LVEDV 13.20ml(47.8ml/m2, 65% of N)と弁輪径は変化がなかったが、左室容量は著明な改善を認めた。【考察】文献的に、M弁z-score -4.5、A弁z-score -5.5、LVDd z-score-5.8の症例にBVRを行い、術後6か月に時点で、左室容量はほぼ正常化し、M弁、A弁がz-score -1.0-1.4に改善するという報告がある。本症例でも、術後2か月の段階では、左室容積は改善し、文献報告と同様の経過であった。しかし、左室拡張末期圧、肺動脈圧は高めであり、今後僧帽弁狭窄や大動脈弁狭窄を呈する可能性があり、今後も慎重な観察が必要と考える。