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[P12-01] 組織ドプラ法による肺動脈弁輪部運動速度の正常値の解析―右室流出路と流入路における機能の相違に関する解析―
キーワード:組織ドプラ法、肺動脈弁輪部運動速度、三尖弁輪部運動速度
【背景】我々は組織ドプラ法(TDI)を用いた肺動脈弁輪部運動速度(PA-TDI)が右室流出路(RVOT)機能を示すことを以前に報告した。肺高血圧症や右室流出路形成術後症例では、PA-TDIは三尖弁輪部運動速度(TA-TDI)とは異なる様相を呈し、RVOTと右室流入路(RVIT)の機能に相違が認められることが示された。今回、小児におけるPA-TDIの正常値を求め、TA-TDIと比較することでRVOTとRVITの収縮拡張様式の比較や右室全体の機能解析に有用であると考え、検討した。【目的】TDIで正常小児におけるPA-TDIの正常値を求め、RVOT・RVITの収縮拡張の相違を解析する。【方法】1-18歳(9±4歳)の正常小児 61例を対象とした。【結果】全症例でPA-TDIは収縮期のs1', s2'、拡張期のe', a'が記録された。PA-TDIはTA-TDIよりも等容性収縮期が短く(49±10 vs 58±13ms, p<0.001)、早期に収縮期波がピークに達しており(76±12 vs 161±27ms, p<0.001)、RVOTの収縮早期壁運動を示した。収縮中後期ではPA-TDIのs2’に比しTA-TDIのs’が有意に高値であった(4.1±1.1 vs 13.0±2.8cm/s, p<0.0001)。e’はTA-TDIで高値であり(13.6±2.9 vs 15.3±2.7cm/s, p<0.005)、持続時間も有意に長かった(129±21 vs 194±39cm/s, p<0.001) a’はTA-TDIで高値であった(5.5±1.8 vs 8.9±2.6cm/s, p<0.001)。【考察】RVOTとRVITの機能の違いは右室内興奮伝導や心筋線維の走行、隣接している肺動脈や右房の組織特性の影響もあると考えられる。【結論】PA-TDIを解析することで右心不全例における評価に役立つと考える。