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[P12-02] 心内短絡のない症例における体肺側副血行路のCMR定量評価
キーワード:心臓MRI、体肺側副血行路、完全右心バイパス手術
【はじめに】体肺側副血行路は血行動態に影響を及ぼすとされ,しばしば塞栓術などの治療対象となるが,どの程度まで治療すべきについては様々な意見がある。一方で健常人においても生理的な体肺側副血行路は存在しうる。そのなかで,体肺側副血行路が問題とならない状態の良い症例において体肺側副血行路がどの程度存在するかについての検討は乏しい。【目的】体肺側副血行路が問題となっていない症例において,どの程度体肺側副血行路が存在するのかを単心室治療群と2心室治療群において比較検討すること。【対象】2015年1月から2015年12月までの間に各種血流評価目的でCMRを行った83例のうち,心内短絡がなく,状態が良く(NYHA1度,BNP<100pg/ml)であり,術直後ないしは直近手術予定のない22例を対象とした。症例を完全右心バイパス術後群5例(右側心房相同2例,右室型単心室1例,重症Ebstein奇形1例,房室弁交差1例,年齢13.0±3.3歳,男女比2:3),肺血流減少疾患治療群6例(Fallot四徴3例,肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損3例,年齢17.7±4.0歳,男女比4:2),非短絡性疾患群8例(大動脈弁逆流4例,大動脈2尖弁2例,非心疾患1例,年齢15.1±3.5歳,男女比6:2)の3群に分け後方視的に検討した。【方法】MRI機種はMAGNETOM Symphony(Siemens社)1.5T,血流測定は位相差コントラスト法を用い,上行大動脈・下行大動脈・上下大静脈・肺動脈の血流量を測定した。【結果】体肺側副血行路が肺血流に占める割合(QAPC/QP)は完全右心バイパス術後群で平均30.5%,肺血流減少疾患治療群で平均9.0%,非短絡性疾患群で平均1.2%と非短絡疾患群に比し完全右心バイパス術後群,肺血流減少疾患治療群において有意に多い傾向にあった。【まとめ】完全右心バイパス術後,肺血流減少疾患の治療後においては状態が良い症例であっても体肺側副血行路が多い傾向にあり,これらの疾患の治療過程において考慮すべきものと思われる。